Akira Teradaインタビュー前編

6/22ANA NFTマーケットプレイスGran Whaleへの作品リリース決定!
Photo Glitch Artist ”Akira Terada”に、全日空商事×Gallery Seekでインタビューをさせて頂きました。

■新人作家発掘コンクールARTIST NEW GATEでデジタルアーティストとして初の入選と賞受賞


(Gallery Seek)※以降(S)
Gallery Seekとしても、いわゆるデジタルアートのアーティストで取り扱いさせていただくのはTeradaさんが初めてとなります。
それから、どういった展開をしようかなと考えていたところ、全日空商事から、
エアライングループが手掛ける世界初のNFTマーケットプレイスANA Gran WhaleにTeradaさんの作品を起用したいとお話を頂き、
無事実現となりました!
(Akira Terada)※以降(T)
過去のARTIST NEW GATEの入選者を見ても、デジタルアートは入選していなくて、応募はしてみましたが厳しいだろうなと思ってました。
大阪に住んでいるので、入選したらあべのハルカスで作品が展示されるなら親孝行にもなるかなという気持ちだったのですが、
まさか賞も頂いて、ANAホールディングスのプレスリリースに名前や作品が載ることになるとは思いもしませんでした(笑)
(全日空商事)※以降(A)
今回私どもがTeradaさんを知るきっかけともなった、ARTIST NEW GATEでTeradaさんが
Gallery Seek賞に選出された経緯をお聞かせいただけますか?
(S)
私たちはこれまでデジタルアーティストは扱っていませんし、正直ポートフォリオの一次審査の時にTeradaさんの作品を見た時も、
センスが凄く良いけどデジタルアートかと少し悩んでいました。
(T)
審査員の方々を見てもデジタルアーティストはいませんし、正直そういう厳しい反応だろうなとは思ってました。
(S)
でもやはり実物を見てみたいなと思い、一次審査の通過者に選出させて頂き、二次で作品を見た時にやっぱりこのセンスは良いなと。
それでGallery Seek賞に選出したのですが、ここからどうしようかと。
(T)
その後大阪で顔合わせした時も、こんな急に話が進むとは思ってなかったですよね。
とりあえずGallery Seek個展をどうするかというのがメインで。

ARTIST NEW GATE Gallery Seek賞受賞作品

■全日空商事との出会いにより加速したNFTアートへの展開


(S)
その時NFTアートとしての展開とかは考えてる?とか話には出しました。
正直NFTアートに関してはリサーチをしていたけど手探りで、やるとしても大分先の展開かなと思ってましたよね。
(T)
あの話し合いも2月だったから、まだあれから4ヶ月くらいでまさかここまで進むとは(笑)
(A)
全日空商事のアートの取組みとして、NFTに挑戦したいという話をしていた時に、
SeekさんからTeradaさんの作品を見せて頂き、当社のアートへの想いに非常にマッチしていると直感しそこから駆け足でしたね!
(S)
そうですよね、勝手ながらTeradaさんのコンセプトとANAのコンセプトが凄い親和性あるなと思い、
これは何か良い反応があるのではと思い、推薦させて頂きました!


■何気なく見ていた風景が、ふとしたことで一変して見える


(A)
改めて、Teradaさんの作品コンセプトをお聞かせいただけますか?
(T)
普段見慣れている都市の風景や自然の風景ってたくさんあると思うんです。
ただそこには風や空気を始めとして、目に見えないノイズにより色々なズレとか違和感があるなと感じていました。
それらが、ふとした操作によって可視化されると、いつも何気なく見ていた風景が全く違ったものに見えてくる。
そのふとした操作というのも、一枚の写真から範囲選択をして上下左右とか反転回転を繰り返すというシンプルなもので、
今まで見てない世界を作っていきます。
(A)
“目に見えないもの”を意識しだしたきっかけってあったんですか?
(T)
子供の時からずっと目に見えている風景に違和感があって、人の目には見えないようなものってたくさんあるんだろうなと
思いながら生きていました。壁を歩いたり、床を見上たり、空を見下ろしたり、海を見上げたりする様な、普段の事象と
逆転している様な体験ができれば、普段目に見えないものが見えるんじゃないかって何となく感じていて。
(A)
その世界を、今の範囲選択から反転という技法で具現化していっているイメージですか?
(T)
そうですね、この年になってPhotoshopとかいろいろ使えるようになって、自分が思い描いていた違和感を可視化して、
やっと作品にできるようになりました。
(S)
なるほど。
そういう意識と今の技法ってすごいあってますね!
現実世界の違和感から、別の世界を創造して作品にするというアーティストもいますが、
Teradaさんの場合は今ある現実世界の見え方に“If”を落とし込む様な感じですね。
(T)
そうですね、あくまで本来の認識を反転させてみたら、世界はどう見えるかなみたいな。

■デジタルクリエイターへの憧れから2022年2月に制作を始め、1年数か月で約400点を制作


(S)
そういえば、制作を始めたきっかけは?
(T)
制作を始めたきっかけって本当に些細なことだったんです。
Vtuberであるホロライブ所属の星街すいせいさんや、同事務所所属の他のメンバーの活動をを見ていて、
なんか自分もそのリアルな空間とバーチャル空間との狭間に入ったかのような作品を作りたいなって。
Vtuberをはじめとするデジタルクリエイターへの憧れがありました。 
自分も現実空間(リアル)でありながら、仮想空間(ヴァーチャル)に干渉することで、
どこか現実空間ならざる都市の風景やノイズを表現したいなと思ったのがきっかけでした。 
僕は絵が描けないので、今あるツールで迷わずにできる手法とか、やり方とかを考えてPhotoshopを使おうと思いました。
あと今の時代は共感して頂くことも大事だと思い、手法も誰でもわかるようなシンプルなものにしようと思いました。
(S)
初めて作品を作ったのもつい最近なんですよね?
(T)
2022年2月ぐらいから始めましたね。
(S)
1点目が完成したとき、これだ!という感触はあったんですか?
(T)
思い描いたものが出来上がったものを見たとき、今まで自分が想像していた世界とか、
モヤモヤしてたものがとてもはっきりしたというか。
自分はこういう世界思い描いてたんだなみたいな実感がありました。
(S)
それいいですね!制作のやり甲斐があるというか。
(T) 
そうなんです。なので毎日続けられますし、もう少しで400点くらいになりますね。
1点に費やす時間も、30分までと決めています。
風景とか写真とか見たら、作品に落とし込むイメージとかもすぐ浮かんでくるので、その直感を大事にして迷わず手を進めていきます。
(S)
色とかも結構パッとイメージされる感じですかね。 
(T)
そうですね、サイケデリックな感じが目立つと思うのですが、モノクロの作品もあったりします。 
風景ごとに色も景色も、合わせたイメージを範囲選択と回転という技法で落とし込む感じです。
(S)
コンセプトから技法、モチベーションまで、すごいスムーズに繋がっている感じですね!
(T)
コンセプトと技法、作品が全てを繋がってないと、見てくれる人に伝わらないと思っていて、そこも大事にしています。

■アートに触れてもらうきっかけになりたい


(S)
アーティストの方は特別な技法に拘っている方も多いかなと思うんですが、あえてシンプルな選択したっていうイメージですよね。
同じ技法をほかのアーティストが使ったとしても、その上でもオリジナリティはしっかり出せる自信がありますか?
(T)
そうですね、例えばどこで止めるか、どこまで進めるかも含めて、個人個人のセンスによって作品は変わってくると思います。
むしろ、僕みたいな簡単な手法でも、こうやってアーティスト活動が出来るんだよっていうのを知ってもらって、
アートをやったことない人たちにもアートに触れてもらうきっかけになってくれればと思ってます。
僕の技法は何年も修行して身につけた技術でもなく、シンプルな技術ですし。
ただそのシンプルで誰でもできる技法だからこそ、短期間で毎日作品を作り続けて、
そのパターンや可能性をものすごく探ってきているので、自分のオリジナリティが出せるかなっていう自信は付きました。
(S)
そうですね、確かに油絵でも同じ技法を用いていても、作品は人によって変わりますしね。
Teradaさんが考える、自身の作品の強みってどこだと思いますか?
(T)
そうですね、統一した同じ技法で作ってるんですが、出来上がるものってパッと見では全然違って、色や形も色んなレパートリーが多いので、
100の作品があって100人いたとしたら絶対どれかは好きになってくれるような作品なのかなって思います。
SNSの反応を見てても、全然作品ごとにいいねしてくれる人が全然違うんです。
ある意味固定のファンじゃなくて色んな人の感性とかに刺さって、直感的に好きだっていう作品が作れてるのかなって。
(S)
確かに固定ファンの強みもありますけど、初見の方に刺さるのって大事ですよね。
(T)
色々なアーティストやクリエイターの方々を見ていても、やっぱりその人の手グセから出る作品が好きだという方が多いと思います。
普段アートとか興味ない人でも、これは好きって反応してくれる人がいたり、
一般の人に対してもなんとなく隙を作れるっていうのは自分の中ですごく強みかなって思います。
直感的に好きとかかっこいいと思ってもらえるものを常に作り続けていられているのかなって。

■楽しくて尽きないモチベーションで作る続ける中での意外な悩み


(S)
そうやってこの短期間で400点くらい作り続けているんですもんね。 凄いモチベーションですよね!
(T) 
正直、楽しくって続いてる感じなんですよね、努力をしているつもりとかってまったくなくて。
本当に純粋に楽しいから、ずっとやり続けられる。 楽しいことって無限に浮かぶじゃないですか。 
(S)
確かにそうですよね。ゲーミフィケーションみたいに、ゲームだったらずっとできるみたいな。 
(T)
そうそう、そんな感じですね。常にそういう感じで一年三ヶ月400作品近くずっとあげ続けている感じです。 
ああ、でも苦手なことありますね。タイトルを付けるのが苦手です(笑) 
(S) 
作品作るのより時間掛かってます(笑)?
(T)
そうですね(笑)毎朝会社に行く電車の中で、インスタの投稿とtwitterの下書きを決めてるんですが、
英語のボキャブラリーがないせいか制作より時間掛かります。
あとはInstagramで作品を出す順番も気にしてますね。 
例えば、縁をテーマにした作品を続かせないとか、長方形を続かせないとか。 似たような作品を続かせない。 
投稿する作品が似通ってくると、似たようなユーザーしか集まってこなくなると思って、
色んな作品、色んなレパートリーをパッと見せられる様にしています。 
そういった制作以外のことが難しいですね。


■フリー素材であっても、写真へのリスペクトは欠かさない


(S)
素材となる写真はどう選んでいますか?
(T)
何百万、何千万とある素材の写真の中から、これだって決めるのも難しいですね。
パッと思い浮かぶ、作りたいと思える写真と出会えるかどうか、それを見つけれるかどうかとか。 
(S)
写真自体の出来というか、拘りってありますか?
(T)
自分が撮ったものも、いわゆるフリー素材もありますが、例えば誰が撮ったかとかには特にこうこだわりはないですね。
あくまでこうその写真を見てインスピレーションが湧くかどうかっていうところが、大きいです。 
(S)
いくつかの写真を使ってコラージュされる方も多いですが、1つの写真から作っていることは理由ってありますか?
(T)
そうですね、何十枚何百枚と組み合わせる作品って、元の写真がわからなくなって、
写真がパーツにしかなってない作品だと感じることもあって。
僕が1枚の写真から作るのに拘っているのは、フリー素材であっても、その写真を撮って下さっている方々がいる。
元の写真を撮った人に対するリスペクトを大切にしたいと思っています。
なので基本的にはできる限り操作を少なくして、元の写真の魅力も残していく方が好きですね。
(S)
なるほど、例えば日本画の方とかが和紙を作る職人の方へのリスペクトを忘れない様にしたいというのは聞きますが、
デジタルアートとジャンルは違えどそれに近い感じはあります。 
(T)
やっぱりフリー素材って誰が撮ったのかとか考えない方が多いじゃないですか。
あんなに綺麗で、センスが良い写真を作品に使わせていただける。
僕にはあんな写真は撮れないし、そこに対するリスペクト忘れたくないなって思います。

 
Akira Teradaインタビュー後編へ続く

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Akira Terada

都市の風景には違和感やノイズ、電波など「目に見えないモノ」が溢れており、世界は常にバグり続けている。それにも関わらず、私達は見慣れすぎた風景に潜むノイズを見ることができない。 都市の中の私たちが日頃なんとなく感じているズレや違和感、ノイズといった普段見えていないものが、仮に見える様になるとしたら?そういったノイズが可視化される事で、昨日まで私たちが何気なく見慣れていた風景は一変し、全く違う風景・都市に見えてくる。それこそが豊かさであり面白さでもあります。 技法としては「範囲選択」と「範囲選択内の反転・回転」というシンプルな技法に拘っています。「シンプルな技法を用いて複雑なものを作る」ことが大事であると考えており、それはデザインもアートも同じであると考えています。なぜなら技法を鑑賞者に伝える時にシンプルな技法であると、説明を聞いた瞬間に理解し頭の中で見慣れた風景を一部範囲選択→回転・反転を行うことでき、私は「見慣れた風景が回転と反転でどんどん変化していく過程の斬新さや豊かさ、面白さ」を共有するためです。