8月18日よりあべのハルカスにて個展を開催する須藤先生にお話しを伺いました！

■作品コンセプト

私が生まれ育った群馬県では、赤城颪といわれる強い風が吹きます。その風とともに生きる動植物は、力強さだけでなく、しなやかに、そして粘り強く堪え忍ぶ姿をも見せてくれました。揺れ動きながらも、光を浴びようとする自然とともに私もその風をあびて育ちました。さまざまな出会いの中で観た風景に、その風の心地を重ねて描きたい、という気持ちを込めました。

■「想いの風と光とともに」

「春のいぶき」F4
私はこれまで、風をテーマに作品を描いてきました。今回はそのテーマに新たに、日の光も意識して新作品を描きました。風と光に育まれ、厳しい中でも成長をとげる自然の形は、そのものすべてが美しい息吹となって、私に与えられた命の尊さについて問いかけてきます。芽吹きから種蒔きまで、朝から宵まで、季節を巡る中で見つけた大小さまざまな自然の息吹を描きました。

生まれ育った群馬県に引っ越したことで、今まで以上に、森や泉のような原生の自然に近づく機会が増えました。そういった場所を取材をしている中で、森の若い木々や芽が、大樹の隙間から差し込む光に照らされて成長する姿を見つけて、その純粋な生命力に心をうばわれました。これが光をテーマにしようと思ったきっかけです。

現象としての光は今までも描いてきましたが、光とともに成長するという生命の神秘を目に焼きつけたことで、さらに深く光について知りたいと思うようになりました。

ただの現象としての光ではなくて、生きとし生けるものの成長や命を照らすような、神秘性を感じるように光を表現したいと思っています。できるだけ、無駄な要素をそぎ落として背景となる余白を広々と増やし、主役が煌めくようなバランスを探究しています。

■新作について

「金風のかがやく」F30

新作は、新たに私が感じた自然の息吹を描いています。30号の「金風のかがやく」は、峡谷に生える紅葉を描きました。厳しい風に堪えながらも伸びて生きる、その姿に感動しました。

「桜のみち」P10

「光のふところ」P10

「空のひかり」P10

また、10号「桜のみち」「光のふところ」「空のひかり」は、静かな並木道を描きました。吹き抜ける心地よい風と、光を宿すかのようなそのあたたかさは、道を通る人に、その先に待つ希望を見せてくれているように感じました。

■自然の息吹をグラデーションで表現

「朝のひかり」P8

どの作品も、岩絵具や水干絵具で何度も彩色を重ねて、美しい自然を再現した色のグラデーションをつくっています。その滑らかなグラデーションが私の作品のこだわりの一つです。このグラデーションで、日光や自然物の色の変化、季節の移り変わり、風の香りやその余韻まで表現できるのではないかと信じています。

■あべのハルカスへ見に来て下さる方へ一言

あべのハルカスでの個展は二回目となります。素晴らしい会場で新作品を展覧させていただく機会をいただきましたこと、誠にありがとうございます。

それぞれの作品の中に流れる風と光の共演の中に、生命の息吹を感じていただけたら幸いです。作品を見て下さる方一人ひとりに、新しい風が吹きますようにと願っています。

須藤先生ありがとうございました！
個展は8月18日(水)～8月24日(火)まで開催しております。
この機会に是非ご高覧くださいませ。

以前のインタビューはこちらから
◇2017年インタビュー
須藤和之作家インタビュー : Gallery Seek Official Blog (livedoor.jp)

「須藤和之　日本画展　-想いの風と光とともに-」
8月18日(水)～8月24日(火)
会場：あべのハルカス近鉄本店　タワー館11階　美術画廊
出品作家：須藤和之
作家来場日：8月21日(土)・22日(日)　各日13：00～17：00

「赤城颪」という強くて冷たい風が吹く群馬県前橋市で生まれ育った須藤和之。その風とともに生きる動植物の、力強さや、しなやかさ、そして粘り強く堪え忍ぶ姿に魅せられ、これまで風をテーマに作品を描いてきました。今回の個展ではそのテーマを新たに日の光も意識した新作の数々をご紹介致します。風と光に育まれ、厳しい環境の中でも成長を遂げる自然の形は、すべてが美しい息吹となって、私たちに与えられた命の尊さについて問いかけてくるように思えます。何気ない生活、当たり前のように巡る季節の中には、小さな動植物と大きな自然とが織り成す、生命の息吹が宿っている。そんな大切なことを気づかせてくれる須藤和之の作品を是非ご高覧くださいませ。