古賀充インタビュー2020

本日より個展を開催されている古賀充先生にお話をお聞きしました!

 

今回の個展のテーマを教えてください。

空間と存在について。
その問いのための一つの解決策として「生命と実存」です。

 

4年ぶりの個展となりますが、制作されてきた中で心境の変化はありましたか。

空間と存在についてのテーマは10年程前から変わっておりませんが、このテーマについて様々な角度から思考を繰り返してきました。

解決ではないですが、より濃密になってきていると思います。

始めは「空間」について、何もない虚無の部分の事というような単純なテーマでしたが、後に時間、存在の方面から空間について模索したり、主観と客観、生命、その他日常起こりうる当たり前について疑問をいだき、それを最終的に「空間とは?」という大きなテーマに繋げようとしています。

 

作品の変化はありましたか?

表現したいことを取繕わず、より正直に画面に投影できるようになったと思います。

 

それは何故でしょうか?

以前は、「絵画として評価されるべき作品でなければならない」という思いが少なからずありました。

ですが空間への思考を重ねるにつれ、テーマありきの芸術へと変わってきたのだと思います。

今回は二点で一つのテーマを扱う新たな見せ方を試みています。
例えば「生命のオリエンタリズム」について。

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人は教育の中で普遍的に命は皆平等であると教えられてきました。

しかし本質では綺麗な花があれば切り取って持ち帰り、害虫はいとも容易に駆除する。
生命に対し優劣をつけていることは明らかで、この事実は指摘しようともおそらく永く揺るがない。

でもこの現実を否定している訳ではなくて、日常的に何気なく見ている生き物たちを潜在的に平等と感じるか。

それら生き物をはかりに乗せることで改めて生命とは何かと考えています。
生命のオリエンタリズムⅠ
「生命のオリエンタリズムⅡ」S20

生命のオリエンタリズムⅡ
「生命のオリエンタリズムⅠ」S20

作品のインスピレーションはどこから生まれてきますか。

ひたすらテーマの為思考を繰り返すこともそうですし、普段の日常、例えばテレビ、散歩などからもヒントがあります。

作品のためにインスピレーションをわかすのではなく、問いの解決のために絵としてメモを残すイメージです。
今回の出品作の「小さいもの」もそういった日常のヒントから得ていて、ヒトの視覚認識について考えています。

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ある離れた地点に何か物体が存在しているとして、その物体は視覚的にはまだ何か分からず黒い点のようにも見えます。
少しずつ近づいてみると昆虫のような形をしていて、結果生物であると認識できる。
次は離れた地点から予め生物がいるという認識で近づいてみます。
しかし近づいてみるとただのネジ。つまり、物体であると認識を正すのです。
作品に近づいたり、離れたりしながら見て頂くと面白いかもしれません。

小さいもの (Ⅱ)
「小さいもの (Ⅱ)」S3

小さいもの

「小さいもの」S3
近づいたり、離れたりしながら見て頂くと面白いかもしれません。

 

今回の出品作の中で一番見てほしい作品を教えてください。

全ての作品が魅力的ですので、それぞれ良いと思うものを見つけて頂ければ嬉しいです。

 

最後に個展を見て下さる皆さまに一言お願いします。

生命や時間など、みなさんが構築してきた当たり前に一度疑問を投じて再構築した内容です。

言葉では一切全く説明できませんが、その当たり前が当たり前でなくなることを願っています。

 

古賀先生、ありがとうございました!

個展は82()まで開催しております。

この機会に是非ご高覧くださいませ。

過去のインタビューはこちら↓
http://blog.livedoor.jp/soratobu_penguin/archives/8590112.html

「古賀充展」
7月23日(木)~8月2日(日)
会場:
Gallery Seek
出品作家:古賀充
作家来場日:7月23日(木)・24日(金) 各日13時~17時

古賀充(1987年生れ)は空間・空気・時間・距離など、人が視ることができないものを、鉛筆画によって表現します。今回の個展では、以前と同じように空間、存在を大きなテーマとすることを根底に置きながらも、その解決の手段の一つとしての生物と無生物の違いについて問うています。主に二つの作品を一つのテーマで扱い考察したという作品たち。ヒトによる生命の価値観、時間的観念が世の中の生物、無生物に対し、どのような影響を及ぼすのかを考えさせられる展示となっております。

関連アーティスト

古賀充

古賀充

私の根底には常に同じテーマがあります。 それは空間・空気・時間・距離など、人が視ることができないもので、表現できないものを表現することです。モノを媒介にした現実的ではない表現ではなく、目とモノの間に確かに存在する無色透明を描き出すこと常に頭においています。