11月1日(金)より個展が始まります、清水知道(シミズチドウ)先生にお話を伺いました! -風景画をメインで制作されていますが、作品を通して伝えたい事は何でしょうか。 生まれ育った祖国、日本の風土をこの目で見て、旅行記として描いております。 アウトドアも非常に好きで、そこで感じた自然の癒しを皆様の生活空間に日本画を通してお伝え出来たらと考えております。 -アウトドア好きになったきっかけはありますか? 動物好きから野生動物へ興味が出て、獣道を歩く様になった事からです。 獣道は一応、クマの痕跡に注意しながら歩いてます。 歩く時はそれなりに対策グッズを携行してますが、痕跡が新しかったり多い場合は引き返してます。 狩猟期の場合は銃があるのでどんどん進んでしまいますが・・。 また、山を歩く事で体力錬成も兼ね、社会貢献活動にも活かしています。 -山はモチーフとしてどんなところに魅力を感じますか? 日本独自のはっきりとした四季による表情の変化。 また、実際に目で見て、スケールや存在感に圧倒されるところです。 歩ける環境と時間があれば登ってみたりもします。 そこでその山、独自の地形や雰囲気を感じ、表情するのも醍醐味です。 -実際に見て、旅行記として描いてらっしゃいますが、それにこだわられる理由とは? 少しでも苦労してから見ると景色への感動・感受性がまったく違うからです。 人間は服装等、その時のコンディションで感性が変わってくると思います。 私が自然風景を取材をするにあたり1番感性が強くなるのは少し苦労した時なのだと思います。 日常風景でも、エレベーターで何気なく上がって見た屋上からの景色と地上からロープ登坂で危険や疲労を感じてから眺める景色ではまったく別物に見えます(笑) 実際のスケッチ -作品のどこを一番見て欲しいですか? 癒しを感じて頂ければ幸いです。 -今回の個展で一番見てほしいと思う作品を教えてください。 やはり大作である50号の奥入瀬です。 今回、初めてこのサイズの作品を手掛けさせて頂きました。 作品の大きさと構図が臨場感を際立たせていると思っています。 「奥入瀬ノ秋」P50 -奥入瀬は多くの作家が描いてきたモチーフですが、どんなところに魅力を感じますか? 日本トップクラスの14kmも続く渓流が奥入瀬です。 この壮大さは勿論ですが、渓流の中でもかなり傾斜が優しい地形ではないでしょうか? 場所は違っても「日当りが良く・水辺が近い・起伏が優しい」この3つが揃うと大型野生動物も集まる傾向にあります。 本能的な癒し要素が凝縮されたところが魅力的ですね。 いつか14kmを往復し、様々な表情を作品にしたいと思っています! -今回は秋の作品がメインですが、最近取材に行かれたという北海道のオンネトーも出品されてますね。 オンネトーは憧れの北海道風景で手掛けた最初の作品です。 北海道は、自然豊かで雄大・なだらかな地形が多いですが、山の中も本州より木々の間が広く、清々しさが魅力的な地域なんです。 遠目で見た時、優しさを感じますし、近場で見て明るいのも魅力なのかなと思います。 あとは野生動物との遭遇率も。 エゾ鹿・キタキツネ・オオワシ・オジロワシ・エゾリスなんかは歩いてると結構会いますね! その中でオンネトーを最初に手掛けさせて頂いたのは、「5色沼」と呼ばれるほど様々な表情を見せる高い透明度の水を持ち、釧路方面を代表する山「雌阿寒岳」「阿寒富士」を同時に見れる名所でもあるため描きました。 「オンネトー」P10 秋の作品、朝ノ小路は避暑地の林道を歩いていたら出会った風景です。 朝も早く、薄い霧モヤに遮光が差していてその光景が忘れられなくて。 遮光と林道の先にある世界を想像して頂けたら嬉しいです。 「朝ノ小路」 F4 竹林ノ秋は名所の1つ、京都嵯峨野の竹林を題材にした作品です。 海外の方が見ても分かるザ・日本をイメージしました。 あえて道を描かず、鳥の目線で和の紅葉を表現しております。 嵯峨野の竹というと生垣が周りにあるイメージもあるかと思いますが、より自然に近い生垣無しの風景に愛着を持っています。 「竹林ノ秋」F8 -作家を志そうと思ったのはいつ頃ですか? 幼い頃より風景画が身近であり、物心がついた際には自然風景に興味を持っていました。 更に絵画を通す事により、自分なりの表現や、自然が発する豊かな表情を表現する事の楽しさに気付き、概ね中学生の頃から志すようになりました。 -作品は間近で拝見すると、マチエールの凹凸が面白いですね。 凹凸があるのは粒子ですね。 岩絵の具は同じ色でも粒子が粗いほど色が濃く、細かいほど色が薄くなります。 荒い岩絵の具を要所に使用しその後、細かい岩絵具等で色彩の微調整をしています。 岩絵の具は大変、高価な画材ですので、使用するタイミングや色彩の選定に非常に神経を使います。 「朝ノ小路」F4 作品部分 -技法の中でどこに一番こだわりを持っているか教えてください。 日本文化が生んだ日本画材。 この画材が持つ独自のマチエールを作品の表情に利用している点です。 -影響を受けた作家・作品を教えてください。 アンドリューワイエス -油彩の作家ですが、どんな部分に惹かれますか? 茶系色であるセピアを使い、絵に重厚感を出している点に惹かれました。 鮮やかな色彩だけでは作品が弱くなってしまうので参考にしています。 -作家として最も大事にしている心構えを教えてください。 祖国日本の美しい風景を美術分野から如何に皆様にお伝えできるか。 生活の中で受け入れ易い表情とはどんな物か等を思案しております。 -今後の夢や目標を教えてください。 行く行くは日本画である私の作品を海外へ発信し、海を越えて日本風土や日本画材の素晴らしさをお伝えしたいと考えております。 -最後に、作品を観に来て下さる皆様に一言お願いいたします。 11月という事なので紅葉など彩りある作品を中心に製作させて頂きました。 写真とは違う絵画ならではの色彩の協調感や構図等、癒しの風景を追い求めた作品をお楽しみ下さい。 清水先生、ありがとうございました! 個展は11月1日(金)より開催いたします。 是非ご高覧下さいませ。 「清水知道 日本画展-故国美景を行く-」 11月1日(金)~ 11月10日(日) 会場::Gallery Seek 出品作家:清水知道 作家来場日:11月2日(土) 13時~17時