中村祐子インタビュー2020 その②

前回のインタビューでは、作品のコンセプトや絵を描く事になったきっかけ、截金についてお聞きしました。
→ http://blog.livedoor.jp/soratobu_penguin/archives/9605694.html インタビュー①
今回は①の続きとなっております♪


-2016年には、伊藤忠青山アートスクエアで個展をされましたよね。
はい。
伊藤忠商事株式会社の2016年カレンダーに作品を採用していただいたご縁で、
こちらの会場でカレンダーの原画とともに、近作を展示する好機をいただきました。
作品は中には所蔵者の方よりお借りしたものもあり、本当に様々な方に支えられできた展示となりました。

(会場風景 )


会場は広く、開放的な空間でした。
会期中3週間で1500人以上のお客様が来場し、また、一度いらしたお客様が、ご友人やご自分のお子さん、
お父様お母様を連れて再びいらっしゃる方が多く、本当に気に入ってお話しくださるのがとても有難かったです。
また、会期中にはワークショップが2回ずつ開催され、お子様から大人までたくさんの方に参加していただいたり、
港区主催の美術館3箇所をめぐるツアーのうちの1箇所に選ばれ、ツアーの方々に作品を説明し、会場を見学していただきました。

(当時のワークショップでの風景 )

(ツアーの方々に作品を説明する中村先生。
インタビュー①でお話されていた復元模写の作品も展示されました。)



-普段の制作手順を教えてください。

伝統的な日本画の描き方をしています。
①小下図を描き、構成と色合いを色鉛筆で検討します。

②大下図を描き、念紙(トレーシングペーパー)で和紙に描き写します。
墨描きする前に鉛筆で補筆しています。

③墨で線を描き起こしているところ。


④細かい岩絵具や水干絵具で下塗り→その上から粗め、細かめの岩絵具を、絵具ごとの性質も考えながら塗り重ねます。
岩絵具は塗り重ねると色が濁ったり、絵具同士の性質が違うと混色できないため、何回も塗り重ねる事はしません。
私の絵の場合は金箔を使いますので、ある程度絵が仕上がってくる途中で金箔を貼る作業があります。
金箔は言ってみれば、金をごく薄く板状にたたいてのばしたものを、膠で画面に貼り付けるので、画面上に載せた時に厚みが出来、華やかになりますね。


「宝相華」P4
⑤最後に截金を施し、截金や金箔が画面に馴染むように、上から少し絵具の作業をし、完成です。



-「宝相華」は以前から描かれているシリーズですね。

はい。
宝相華は極楽に咲く空想の花です。
現世の蝶が憧れ惹かれる様子を優美に表現したくて、長年取り組んでいるテーマでもあります。
私の作品の中では珍しく、空想のお花を描いていますが、截金が仏教美術で用いられる技法であることから発想しています。



-今回の出品作の中で一番見てほしいと思う作品を教えて下さい。

作品ごとに前とは違う新しい試みや、前の作品よりもより良く表現できればと思って描いています。
一番は難しいですが、15号の「錦秋」は黒い背景色に、あえて黒の鯉を描いて紅葉の赤と金色との対比に挑戦しました。見ていただけたら嬉しいです。

「錦秋」P15



-作家として最も大事にしている心構えを教えてください。

自分の思い描く世界を表現したいということだけでなく、作品として発表するためには、観ていただく方に寄り添えるものであることが大事だと思います。
また、まだまだですが、自分がモチーフを見た感動が色や形に出来たらと思って描いているので、それが伝われば嬉しいです。



-先生にとって絵を描く事はどういった行為でしょうか。

絵を描くこと自体は、目の前に存在するものの形や色の美しさに対して自分が感動したことを表現する手段です。



-最後に、作品を見てくださる皆様に一言お願いいたします。

自分の自然への眼差しに一点でも共感していただける作品があれば嬉しいです。
どうぞよろしくお願いいたします。




中村先生、貴重なお話をありがとうございました!
これからの作品も楽しみにしております。

→インタビュー①
http://blog.livedoor.jp/soratobu_penguin/archives/9605694.html

作品はHPからもご覧いただけます。
→https://s-art-web.com/sakka/profile/430.html

作品についてのお問い合わせはこちらまで。
→TEL   03-6228-6752mail/info@s-art-web.com

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中村祐子

中村祐子

嬉しいこと、悲しいこと、どんなことがあっても、どんな天気の日でも、かならず四季はめぐり、草木の緑は、その折々にやさしい花で季節を知らせてくれます。 そこにあり続ける変わらない姿に力づけられ、やさしい気持ちになれることに、いつも感謝しています。