歴史深い金属工芸の技術を駆使した作品を造る原田武氏。幼少期にみた景色の記憶のワンシーンを切り取り、
写実的な構成でありながらもどこか懐かしさを感じる作品を制作しています。主に虫や小動物など、身近にある
小さな世界をモチーフにしている原田氏ですが、今回の個展ではそれらに加えて、翼を持った空想の生き物を
モチーフにした作品も展示致します。古来より翼のある空想の生き物は全世界で描かれてきました。それは
人間の中で翼という存在に憧れや畏怖があったのかもしれません。原田氏自身そのような魅力を持つ生き物に
惹かれ、大学の卒業制作や修了制作など、節目となるときには空想の生き物を制作していました。近年では
制作してこなかったテーマですが、約9年ぶりにこのテーマに向き合い、原点回帰ともいえる展示としています。
着色をせず、化学変化で彩られた金属の発色に拘り、細かい金属造形の技術から生み出された作品の数々を
是非ご高覧ください。