福井氏の作品は現場主義（実際にモデルをキャンバスの前に佇ませて絵を描く）に強いこだわりをもって制作されています。眼前に在る生身の女性やモチーフを、紡ぐように一片一片写し取る作業を丁寧に重ねてゆくのです。命や情景と共に実際に時間を費やし、描き上げられた世界はあらゆる物理を超えて本質的「存在」を生み出しているかのようです。アトリエの温度や湿度、流れる時間、モデルの確かな呼吸や肌の調子、言葉、生地の擦れる音までもが、色となり形となってモデルと福井氏の境界線であるキャンバスにたち現れています。「実像」にこだわる制作スタイル故の複雑なマチエールも福井氏の作品の醍醐味と言えるでしょう。圧倒的技術に裏付けされた、福井欧夏氏の作品のオーラをぜひ直接ご覧いただければ、と思います。   【福井欧夏 公式HP】