「時間をかけて実物と対峙することを恐れずに続けていきたい。静止画ではなく、移ろいを描写するための写実でありたい」と語る青栁友也。瑞々しい生命力から、朽ちていく中に漂うものまで、対象物それぞれの個を見つめており、何気なく転がっている現実の中に溢れている無駄のない生々しさをできる限り拾い上げて描写しています。時間の波に揉まれてできる傷跡や汚れを画面に描くことで、そこに混在する若さと老い・時の移ろいを演出し、味のある雰囲気を醸し出します。
今回の個展テーマは「ニュアンスの小窓」。身近な物事の機微(ニュアンス)に触れ、分かったことや感動したことをどのように絵具で表現できるか。過剰と感じたものは可能な限り削ぎ取り、よりシンプルな表現にすることで生じる緊張感を追求していきます。