喜びに湧き上がる軽やかな春、涼やかな色潔き夏、実りを讃え労うように優しい秋、小さな温もりが染み渡る冬。季節は移り変わりながら常に語りかけてくれます。私はその小さな声に耳を傾けながら絵筆を執り、人と自然をつなぐ架け橋の一つになりたいと思っています。「巡り生るる」と題した本展では繰り返される命の営みに思いを馳せて、鳥や花、星々の小さな煌めきを描きました。混沌の中においても変わらぬ美と安らぎ、時に己を振り返る機会をも与えてくれる自然。使命を全うする如く咲く花や甲斐甲斐しく生きる小鳥たち。私の画題とする花鳥や宇宙、龍に加え、永久に繰り返される生命の営みを寄せては返す波に重ねた「百波(びゃくは)」の新作約10点をどうぞご高覧ください。(友田恵梨子)