Were the Beasts of Fable Born Only to Carry a Lesson? — Yui Takatsu Solo Exhibition “-Monogatari-“

2026.06.21

高津ゆい 個展「-ものがたり-」

寓話の獣たちは、教訓のために生まれたのか──高津ゆい 個展「-ものがたり-」

Gallery Seek(カレッタ汐留B1F)にて、高津ゆい個展「-ものがたり-」が開催中です。会期は6月27日(土)まで。

鶴の恩返し、かちかち山、浦島太郎、うさぎと亀、長靴を履いた猫、狼と七匹の子山羊──。誰もが筋を知る寓話の動物たちを、高津ゆいは教訓の記号から引き剥がし、骨格と筋肉と瞳孔の奥の光を持つ一個の生き物として画面に立たせます。本展では童話をテーマにした新作絵画10点を発表。

フィーチャー作品「生命の恩 - ネズミの恩返し -」(M20/H500×W727mm/アクリルガッシュ、木パネルに水彩紙/2026年/¥330,000 税込)は、イソップ寓話を出発点にネズミとライオンの関係性を描いた一枚です。食物連鎖の両端に立つ二頭の間に横たわる恩──その不均衡でありながら対等な力学が、アクリルガッシュの不透明な色層と0.3ミリのシャープペンによる精緻な線描によって一枚の画面に凝縮されています。

高津は動物の形態に嘘をつくことを自らに禁じる作家です。その誠実さを土台としながら、色彩の選択と表情の微細な演出──まぶたの閉じ具合、口角の角度、頰の緊張──によって、描かれた個体に固有の性格と一回きりの生を付与します。背景を満たす深い黒は宇宙ではなく、光の届かない空間がただ奥へと広がる静寂。そこに白や金の絵具が弾き飛ばされ、空気中のチリが光に触れて明滅するように、画面全体に呼吸を与えています。

寓話の教訓は記憶に残る。けれどその教訓を担った獣たちの瞳の色を、私たちはどれほど想像してきただろうか。高津ゆいの絵の前に立つ時間は、その問いに向き合う時間でもあります。

開館時間:11:00〜18:00(最終日17:00まで)。

▶ 作品詳細・お問い合わせ:https://art-scenes.net/ja/artworks/56080

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