A Clockwork Bird Leaping Through Centuries of Japanese Art — Kenji Shimizu Solo Exhibition

2026.07.29

錆びたゼンマイの鳥が、日本美術史を跳躍する——志水堅二 個展

錆びたゼンマイの鳥が、日本美術史を跳躍する——志水堅二 個展

カレッタ汐留 地下1階 Gallery Seekにて、志水堅二 個展「ブリドリーの時空雅行 雅の源流から夏の灯」が開催中だ。会期は2026年7月24日(金)から8月1日(土)まで、残り3日を切った。

ゼンマイ仕掛けのブリキの鳥「ブリドリー」。飛翔能力を持たず、外見に錆を纏いながら、それでもジャンプを繰り返すこのキャラクターは、志水が20年以上の歳月をかけて練り上げた"時間の象徴"である。その姿は、風神雷神図屏風の前にも、北斎の波頭の上にも、花鳥画の梅椿の傍らにも現れる。ときに鳳凰や八咫烏、龍といった神獣の姿を借り、制限を乗り越えようとする気高さを纏う。

技法は東西の交差点に立っている。木製パネルにアクリルで下地を幾層にも重ね、アルキド絵具の鋭い主線で描画する。金箔・銀箔といった古典技法が画面に荘厳な光を与え、その上にブリキの錆びた質感が同居する。日本画の格式と、アニメ・漫画世代の身体感覚が、ひとつの画面で矛盾なく呼吸している。

1971年名古屋生まれ。尾張藩に仕えた家系に連なり、曾祖父は輸出向け陶磁器業「志水緑之助商店」を営んでいた。多摩美術大学で油画を修め、東京藝術大学大学院では日本画の巨匠・中島千波のもとでデザインを学んだ志水にとって、東洋と西洋、古典と現代の境界は、越えるべき壁ではなく最初から立っている場所だった。

「風神雷神図屏風」「冨嶽舞利鳥図浪之裏」「菊に舞利鳥図」「梅椿に舞利鳥図」「a un」「Tea Cup Bridolly」ほか、ブリドリーが日本の古典名品を時空横断する作品群を一堂に展示。朽ちて土に還るブリキという不完全な素材に、記憶の手触りを見出す志水の眼差しが、数百年の時を超えた結びつきを静かに照らしている。

夏の汐留で、ゼンマイの鳥が跳ぶ先を確かめてほしい。

会期:2026年7月24日(金)〜8月1日(土)
会場:カレッタ汐留 地下1階 Gallery Seek

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