酒井抱一の雉子と、ゼンマイ仕掛けの鳥が同じ画面に立つ──志水堅二《桜雉子舞利鳥図》
酒井抱一の雉子と、ゼンマイ仕掛けの鳥が同じ画面に立つ──志水堅二《桜雉子舞利鳥図》
志水堅二 個展「ブリドリーの時空雅行 雅の源流から夏の灯」が、カレッタ汐留 地下1階 Gallery Seekにて開催中です(会期:2026年7月24日〜8月1日)。
本展でひときわ目を引くのが、《桜雉子舞利鳥図》。江戸琳派の絵師・酒井抱一(1761–1828)の代表作「十二ヶ月花鳥図」から春の一幅を下敷きにした作品です。志水は抱一が描いた写実的な雉子に一切手を加えず、画面の他の鳥だけをゼンマイ仕掛けのキャラクター「ブリドリー」へと描き替えました。
H1840×W530mmの縦長画面。木製パネルにアクリル絵具で下地をつくり、アルキド絵具で主線と描画を施すミクストメディアです。精密に描かれた古画の雉子の羽毛と、丸く簡潔なブリドリーの輪郭。その描き分けの振幅にこそ、この一枚の核心があります。桜の花びらが舞い散るなか、赤・桃・青・緑のブリドリーがそれぞれ異なる表情で戯れる。古典の筆致と現代のキャラクターが同じ画面で息をしている、その不思議な均衡。
ブリドリーは「ブリキの鳥」と「人形(ドール)」を掛けた名を持ち、「時間の象徴」として描かれています。飛ぶことはできなくても、ゼンマイが錆びつくまで跳び続ける。朽ちていつか土に還るブリキという素材への眼差しが、このキャラクターの根幹にあります。
本作は「桜雉子舞利鳥図・立葵紫陽花舞利鳥図・柿目白舞利鳥図・雪中檜舞利鳥図」という四幅対の一部で、抱一の「十二ヶ月花鳥図」から四季を表す四幅を選び、それぞれの鳥をブリドリーへと描き替えた連作です。一点ずつでも独立した鑑賞が可能ですが、四幅を並べることで四季の巡りとブリドリーたちの多様な姿が一望できます(四幅対のみでの販売、¥5,632,000 税込)。
志水堅二は1971年名古屋生まれ。多摩美術大学油画科を卒業後、東京藝術大学大学院デザイン専攻(中島千波研究室)を修了。キャラクター文化を絵画として成立させることを長年の命題とし、日本の古典的な図案と現代のキャラクター表現を、西洋画材を介して一枚の絵に統合する独自の手法を築いてきました。
7月25日・26日の13:00〜17:00には、巨大ブリドリーバルーンの登場、作家本人による作品解説、塗り絵グッズの配布も実施(汐留サマースクール連動企画)。大人にはノスタルジーを、子供たちには新鮮な驚きを届ける夏の展示です。
▶ 作品詳細・お問い合わせ:https://art-scenes.net/ja/artworks/56289
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