A Wind-Up Bird Alights on Centuries-Old Scrolls — Kenji Shimizu’s Flower-and-Bird Kakejiku Trilogy

2026.07.19

志水堅二 花鳥掛軸シリーズ(桜雉子・柿目白・雪中檜 舞利鳥図)

古画に降り立つゼンマイの鳥──志水堅二「花鳥掛軸シリーズ」3点、時間の地層が交差する掛軸

志水堅二 個展「ブリドリーの時空雅行 雅の源流から夏の灯」が、2026年7月24日(金)より8月1日(土)まで、カレッタ汐留 地下1階 Gallery Seekにて開催される。

本稿では、展示の中核をなす花鳥掛軸シリーズから3点を取り上げる。いずれも既存の古典的な花鳥掛軸を下敷きとし、作家が元々描かれていた鳥をゼンマイ仕掛けのキャラクター「舞利鳥(ブリドリー)」へ描き替え・描き加えた作品群だ。各作品 2026年制作、Painting、Unique、H1840 × W530 mm、各¥1,408,000(税込)。

「桜雉子舞利鳥図」は、満開の桜に雉子を配した古画を土台とする。写実的な雉子はそのまま残し、周囲の鳥を赤・桃・青・緑のブリドリーへ置き換えた。精緻な羽毛の描写と簡潔で丸いキャラクターの輪郭が同じ画面に併存し、筆致の時差がそのまま視覚的な緊張となる。

「柿目白舞利鳥図」は、実りの秋の柿にメジロを描いた古画が原型。元のメジロがいた枝に、その姿を思わせる緑のブリドリーが止まっている。橙色の柿と墨の枝は古画のまま。鳥だけが入れ替わり、時代の記憶が輪郭を変えて受け継がれる。

「雪中檜舞利鳥図」は、雪をまとった檜の冬景に、赤・黄・青・緑・紫の五色のブリドリーが点在する。寒色の静謐な古画に暖色のブリキの鳥が灯すわずかな体温。雪の白と墨の階調のなかに、小さな生命の気配が滲む。

志水堅二にとって、ブリドリーは「時間の象徴」である。朽ちゆくブリキ、錆びつくゼンマイ。それでも跳び続ける小さな鳥が、数百年の古画の上に新しい時制を刻む。模写でも引用でもない。過去の筆致と現代の手が重なり、時間の地層そのものが一枚の掛軸に可視化される行為だ。

会期中の7月25日・26日(13:00〜17:00)には、汐留サマースクール連動企画としてアーティスト本人による作品解説、巨大ブリドリーバルーンの登場、お子様向け塗り絵グッズの配布も実施される。

▶ 桜雉子舞利鳥図:https://art-scenes.net/ja/artworks/56289?gallery_id=9
▶ 柿目白舞利鳥図:https://art-scenes.net/ja/artworks/56291?gallery_id=9
▶ 雪中檜舞利鳥図:https://art-scenes.net/ja/artworks/56292?gallery_id=9

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