4作家それぞれの現在地──最終日2展・折り返し1展・開幕2日前1展

2026.05.26

4作家それぞれの現在地──最終日2展・折り返し1展・開幕2日前1展

最終日2展、折り返し1展、開幕2日前1展──Gallery Seek取扱4作家、それぞれの「現在地」

2026年5月26日、火曜。Gallery Seek取扱の4作家による個展は、それぞれ違うタイミングに置かれている。

田中ラオウ「絵画展 ~ANIMUS~」と武蔵原裕二「第二回 日本画展 ─飛んで、走って、泳ぐ─」は、本日17時/18時で会期を閉じる。最終日。Akira Terada「THE GLITCH -Assemblage-」は会期5日目、ちょうど折り返し。梅田綾香「光の在処(ひかりのありか)」は明後日5月28日から開幕、あと2日。

同時期に走る4つの個展だが、それぞれの「今」は全く違う。最終日には最終日の、折り返しには折り返しの、開幕前には開幕前の、それぞれの空気がある。

■ 田中ラオウ「絵画展 ~ANIMUS~」──本日最終日(あべのハルカス近鉄本店 タワー館11階 美術画廊)

田中ラオウは、2014年カリカチュア世界大会総合優勝・マスタークラス殿堂入りという写実の極点を経て、2016年に画家へ転身した北海道札幌出身の作家。Adobe Japan Prerelease Advisor、Adobe MAX日本人唯一の登壇者として、デジタルとアナログの境界を越えた表現活動を続けている。

田中の制作手法は独特である。流動させたアクリル絵の具がパネルの上で偶然に作る色のあと──二度と同じには現れない表情──の上に、世界王者の写実描写を重ねていく。偶発性と緻密な筆致が同じ画面に共存することで、定義しがたい生命の輪郭が立ち上がる。本展では「Wave」F10、「Surge」F10、「猛虎伏草」F30、「天空」M20、「eclipse」P8 の5作品を発表。本人が「画家への転身を決意した時は、着込んでいた鎧を脱ぐことからはじめました」と語るように、ANIMUS(魂・生命の根源)というテーマには、世界王者の称号を手放した後に辿り着いた純粋な生命像への到達がある。

最終日は本日17時まで。

■ 武蔵原裕二「第二回 日本画展 ─飛んで、走って、泳ぐ─」──本日最終日(神戸大丸 8階 ギャラリートアート)

武蔵原裕二は日本美術院 院友、郷さくら美術館パブリックコレクション作家。雲肌麻紙の上に岩絵の具と胡粉を幾層にも重ね、輪郭線(骨描き)を排して毛並みの一本ずつを描き起こす独自手法を確立してきた日本画家である。

本展では「竹虎図」M8、「まなざし」P8、「願いのソラ」F6、「今日のごちそう」P60、「星降る頃」F4 など5作品を展示。空・陸・水に生きる動物たちが、それぞれに適応した姿、形、色、模様、能力を画面の上で示している。岩絵の具の鉱物粒子が光を反射するその物質的存在感が、見る者の「触れたい」という衝動を引き出す。神戸大丸での初個展。

最終日は本日18時まで。

■ Akira Terada「THE GLITCH -Assemblage-」──会期折り返し(Gallery Seek・カレッタ汐留 B1F)

寺田暁、1996年大阪生まれ。建築デザインの修士課程で空間認識を鍛え、2022年から「Photo Glitch Artist」として活動を開始した。1枚の写真に範囲選択・回転・反転・歪曲・積層を反復することで作品を構築する独自手法を持つ。

本展では2025年新作群から2026年最新作「PROTECTIVE INSTINCT」「UNTITLE」シリーズまで全17点を発表。アクリル板にUVプリントを重ねる手法は、写真でありながら絵画的な物質感を獲得し、見る角度や光の入り方で表情を変える。ANA GranWhale NFT MarketPlace プレリリースアーティスト選出、ニューヨーク・タイムズスクエア・カサ・ミラでの作品発表など、国内外で活動を広げる作家の現在地が、汐留の地下空間に並んでいる。

会期は5月30日(金)まで。本日は会期5日目、折り返しを迎えた。

■ 梅田綾香「光の在処(ひかりのありか)」──開幕まであと2日(東武百貨店池袋本店 アートギャラリー)

梅田綾香は広島市立大学大学院 染織専攻修了。三菱商事アート・ゲート・プログラムに9回入選・全作品買い上げ、Affordable Art Fair Hong Kong、ART TAIPEI でも支持を広げてきた染色作家である。

蝋染め(ろうけつ染め)という古典技法を絵画表現に展開する梅田の手法は、染めることではなく「染めない」ことで像を立ち上げる引き算の構造を持つ。熱した蝋を絹の繊維に浸透させ、その防いだ場所だけが白く残る。新作「Twin Blossoms」0F(140×180mm)は、その変数の全てが手のひらサイズに凝縮された小品。会期は5月28日(木)から6月3日(火)まで、東武百貨店池袋本店アートギャラリーにて。

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最終日には最終日の、折り返しには折り返しの、開幕前には開幕前の、それぞれの空気がある。4つの個展はそれぞれ違うタイミングに置かれているが、いずれも作家が自身の手と眼と時間を賭けて世界に触れようとする行為であることに変わりはない。

各展示の詳細・お問い合わせは Gallery Seek まで。

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