高祖父の絵付けと、四世代を超えたブリドリー

2026.07.24

高祖父の絵付けと、四世代を超えたブリドリー

高祖父の絵付けと、四世代を超えたブリドリー

名古屋・西瓦町に店を構えた志水禄之助は、瀧藤商店時代の1883年頃、倒産の危機にあった店を優れた絵付けの技術で再建に導いた名画工だった。1892年頃、ヴァンタイン商会の名古屋進出と輸出不況が重なったことを機に瀧藤商店を離れ、自らの店・志水禄之助商店を興し、1940年頃まで操業を続けたと伝わる。裏印に残るのはイニシャル「R.S」と日の出(RISING SUN)のマーク、そして「JAPAN」の文字。

その禄之助が約120年前に絵付けしたと伝わる、金彩と鶴の意匠をまとうカップ&ソーサーを素材に、高祖父の血を引く作家・志水堅二が立体作品《Tea Cup Bridolly》を制作した。器の中に小花とともに腰を下ろすのは、志水の分身であり「時間の象徴」として描かれ続けるキャラクター「ブリドリー」。ブリキのおもちゃが帯びる「記憶が染みついた感じ」への作家の美意識は、100年を超えて刻まれた器の時間の質感と、思いがけない静けさで共鳴している。

一人の画工が守った絵筆の技術と、その血を引く作家の想像力。世代を超えて受け継がれた手仕事が、どのようにひとつの立体作品として結晶したのか。個展「ブリドリーの時空雅行 雅の源流から夏の灯」(7/24〜8/1、カレッタ汐留 地下1階 Gallery Seek)にて、その全容をご覧いただきたい。

▶ 作品詳細・お問い合わせ:https://art-scenes.net/ja/artworks/56294