高津ゆい《ぼうぼう山》個展最終日
背中の火と、山の名前——高津ゆい《ぼうぼう山 - かちかち山 -》
高津ゆい個展「-ものがたり-」は、本日6月27日(土)が最終日です。
本展で発表された新作10点は、日本昔ばなしやイソップ物語の動物たちを主人公に据えた連作です。高津は、野生動物にも個性と内面があるという信念のもと、古代文明や寓話に着想を得た独自の物語世界を長年にわたり構築してきました。1992年岐阜県多治見市生まれ、愛知県立芸術大学大学院デザイン領域を首席修了という経歴を持つ作家が、今回あらためて向き合ったのは、幼少期から親しんできた「童話」という原初の物語です。
《ぼうぼう山 - かちかち山 -》(H27.3 × W41.0 cm/アクリルガッシュ・水彩紙・木パネル/2026/¥132,000 税込)は、「かちかち山」の中でたぬきが背中の火にまだ気づいていない一瞬を描いた作品です。タイトルの「ぼうぼう」は、炎の燃え盛る擬態語であると同時に、物語の舞台となる山の名前でもある。たぬきの背中と山の輪郭が意味的にも視覚的にも重なり合い、一匹の身体がそのまま燃える風景へと変容します。
漆黒の背景は、高津が「無の空間が奥に広がっている光景」として設計するもの。その深い闇の手前に、アクリルガッシュの鮮やかな色面が浮かび上がる。0.3ミリの2Hシャープペンで一本一本刻まれた緻密な線描が色彩の下層で呼吸し、仕上げに白や金の絵の具を弾き飛ばすことで生まれる光の粒が、火の粉のようにも、あるいは寓話の余韻のようにも画面を漂います。
自分の背中に何が載っているか。それを最後に知るのは、いつも本人です。会期は明日まで——Gallery Seek(カレッタ汐留B1F)にて17:00閉廊。
▶ 作品詳細・お問い合わせ:https://art-scenes.net/ja/artworks/56076
▶ 展覧会情報:https://art-scenes.net/ja/shows/1631
▶ Gallery Seek:https://galleryseek.jp/
---