道端に潜む小さな世界——原田武「蒲公英と蟻」
真鍮と銅でできた、蒲公英(たんぽぽ)と蟻。高さわずか120mm——手のひらに収まるほどのその空間に、蒲公英の細い茎の立ち上がり、そして傍らを行き交う蟻の姿が刻み込まれています。
これが原田武の新作「蒲公英と蟻」です。現在、Gallery Seek(カレッタ汐留B1F)にて開催中の個展「断片の景色」(7月3日〜11日)に出品されています。
◾ 塗料を一切使わない、金属だけの色彩
この作品に使われている色は、すべて金属そのものの色と化学変化によるものです。真鍮の黄金色、銅の赤褐色——それらだけで、植物と昆虫が共存する小さな世界を表現しています。
「素材を限定することによって得られる表現を目指しています。全て金属で形を作るだけでなく色も金属の化学変化で発色させることによって表現しています」——原田武
鍛金(金属板を金槌で叩いて成形)と彫金(鏨で微細な形状を彫り出す)を組み合わせ、蟻の脚の関節や蒲公英の冠毛まで一本一本手作業で仕上げる。その膨大な手仕事の時間が、120mmの中に凝縮されています。
◾ 道端の「覗き見」から生まれる作品
「幼少期にはただただ夢中に観察し、身近にある小さい世界を覗き見していました。大人になって慌ただしい生活の中でついつい見落としてしまっていた感覚を思い出すきっかけになればと思っています」——原田武
この作品の前に立つとき、かつて地面にしゃがみ込んで蟻の行列を追いかけた記憶、蒲公英の綿毛を息で飛ばした記憶がよみがえるかもしれません。
◾ 個展「断片の景色」について
朽ち落ちたタイルや小さな生き物——日常に潜む断片を手がかりに、金属の中へ時間の記憶を刻み込む。今回の個展には「雨の季」「艶蛛」「蝶が舞う風景」「月下の中に」など12点が並びます。
本日7月4日(土)は作家在廊日(13:00〜17:00)。作家と直接お話しいただける機会をぜひ。
【展示概要】
原田武 個展「断片の景色」
会期:2026年7月3日(金)〜 7月11日(土)
時間:11:00〜18:00(最終日17:00閉場)
在廊日:7月3日(金)・4日(土)・5日(日)13:00〜17:00
会場:Gallery Seek / カレッタ汐留B1F(東京都港区東新橋1-8-2)
▶ 作品詳細・お問い合わせ:https://art-scenes.net/ja/artworks/56171?gallery_id=9
▶ 個展詳細:https://art-scenes.net/ja/shows/1640
▶ Gallery Seek:https://galleryseek.jp/