語順を入れ替えると、物語の主役が変わる——高津ゆい個展「-ものがたり-」

2026.06.23

語順を入れ替えると、物語の主役が変わる——高津ゆい個展「-ものがたり-」

語順を入れ替えると、物語の主役が変わる——高津ゆい個展「-ものがたり-」

動物画家・高津ゆいによる個展「-ものがたり-」が、Gallery Seek(カレッタ汐留 B1F)にて開催中です。会期は2026年6月27日(土)まで、残り4日。

本展は童話を主題に、日本昔ばなしからイソップ、ペロー、グリムまでを横断する新作絵画10点で構成されています。鶴の恩返しのアネハヅル、かちかち山のたぬき、うさぎと亀、酸っぱいぶどうの狐、浦島太郎のウミガメ、長靴を履いた猫、狼と七匹の子山羊——誰もが幼い頃に触れた物語が、動物たちの側から語り直されます。

フィーチャー作品「ロバの王様 - 王様の耳はロバの耳 -」(アクリルガッシュ・木パネルに水彩紙|H333×W242mm|¥93,500 税込)は、タイトルの語順をひとつ入れ替えることで、物語の視座そのものを転換させた一点です。秘密を押しつけられた王の滑稽さと哀愁が、人間ではなく「ロバの王」の大胆な構図とユーモラスな表情として画面いっぱいに展開されます。

高津ゆいは1992年岐阜県多治見市生まれ。愛知県立芸術大学大学院デザイン領域を首席修了し、名古屋学芸大学で助手を務めながら制作を続けています。動物の骨格や筋肉の構造に忠実であることを自らに課しながら、0.3ミリ・2Hのシャープペンによる緻密な線画とアクリルガッシュの不透明な色彩を重ね、まぶたの閉じ具合や口角のわずかな変化で一頭ごとに固有の人格を与えます。古代文明から着想を得た装飾モチーフは、動物たちに物語の厚みを纏わせます。

背景を覆う黒は宇宙の暗喩ではなく、光の届かない無の空間。完成間際に白と金の絵の具を弾き飛ばすことで生まれる「光の粒」——空気中の塵が光を受けて微かに輝くあの一瞬——が、奥行きと呼吸の気配を画面に刻みます。

子どもの頃に聞いた物語の中で、動物たちは何を見ていたのか。その問いを、この展示空間が静かに差し出しています。

会期:2026年6月19日(金)〜6月27日(土)11:00〜18:00(最終日17:00まで)
会場:Gallery Seek / カレッタ汐留 B1F

▶ 作品詳細・お問い合わせ:https://art-scenes.net/ja/artworks/56077?gallery_id=9
▶ Gallery Seek:https://galleryseek.jp/

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