田中ラオウ 新作《金神龍》― 金地に舞う神獣、悠久の気配
田中ラオウ「金神龍」——金地に舞う神獣、悠久の気配をたずさえて
田中ラオウ「金神龍」
アクリル画 / 6F(410×318mm)
6号のキャンバスの上に、金色の神龍が降りている。アクリル絵の具のみで描かれた画面には、金の鱗をまとった龍が画面いっぱいを悠然とうねり、黒い鬣と髭、身に絡む白雲の奔流、そして銀の爪が、神獣の威容を支えている。正面から此方を見据える眼差しには、悠久の時と神性の気配が宿る。
田中ラオウは1985年、北海道札幌市に生まれた。2006年にカリカチュアアーティストとしてキャリアをスタートし、2014年にはアメリカ・ネバダ州のISCA conventionで総合優勝、世界王者として殿堂入りを果たしている。対象の本質を瞬時に掴み、誇張と省略の判断を一瞬で下す——その身体に刻まれた反射の精度は、2016年に画家へ転身した後も消えることなく、アクリル絵の具の滲みと余白という新たな言語に変換されていった。
本作「金神龍」において、田中の眼が捉えたのは、龍神という存在の造形的輪郭ではない。画面に満ちるのは、神獣が「そこに在る」気配そのもの——悠久の時をまとった存在が、ひととき画面の奥から此方を見据え、また雲霓の奥へと還っていく、その拮抗の一瞬だ。金と黒と白が一切の妥協なく拮抗し、画面の外にまで張力が伸びていく。
「動物の視線の先や、キャンバスの余白に生き物の息遣いや動きの余韻が感じられるように描いています」と田中は語る。本作の神獣もまた、その視線の先に悠久の気配を置き去りにしながら、画面の中にひととき留まっている。
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