田中ラオウ ー閃ー|黒と金が刻む、一瞬の生命
田中ラオウ ー閃ー|黒と金が刻む、一瞬の生命
2026年4月27日、Gallery Seek(東京・カレッタ汐留B1F)にて田中ラオウの個展「閃(せん)」が開幕した。会期は5月9日(土)まで。
田中ラオウは1985年北海道札幌市生まれ。2014年にカリカチュアの世界大会ISCA conventionにて総合優勝(caricaturist of the year)を果たし、マスタークラス殿堂入り。2016年に画家へ転身し、以降は動物をモチーフとした墨とアクリル絵の具によるミクストメディア作品を軸に活動を続けている。2019年にはAdobe Japan Prerelease Advisorに就任し、Adobe MAXに唯一の日本人として登壇。武蔵野美術大学クラス講師やNHKカルチャー講師としても活動するなど、その表現領域は多岐にわたる。
本展は、田中が最も信頼を置く黒と金の二色を中心に据えた作品群で構成される。金神龍(6F)、一輪の薔薇(6P)、Burst of Blue(10P)、火花(15M)、Maelstrom(20F)、Black Foundation(20P)、そして金毛龍、銀翔龍、桃源龍(各600×200)の計9点が展示空間に並ぶ。
田中の画面において、描き込みと余白は等しい重量を持つ。墨とアクリル——溶け合いつつも完全には混ざり切らない二つの素材がパネル上で出会い、動物の毛並みの一本一本、鱗の隆起、筋肉の緊張を精緻に浮かび上がらせる一方で、画面の広大な余白には、動物の視線の先にある見えない風景や、動きが止まった瞬間の空気の揺れが漂う。この描写と不在の間に生まれる緊張こそが、田中作品の核心にある構造だ。
タイトル「閃」が示すのは、暗闇を裂いて現れる強烈な生命の輝き。覚悟をもって一作ごとに全身を賭す作家の姿勢が、そのまま画面のコントラストに宿っている。ぜひ会場にて、描かれたものと描かれなかったものの狭間に立つ体験をお確かめいただきたい。
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