田中ラオウ個展「閃」会期中インタビュー動画公開

2026.05.05

田中ラオウ個展「閃」会期中インタビュー動画公開

画家・田中ラオウ氏の力強い作品世界と、その裏側にある哲学を凝縮したインタビュー。Gallery Seekとのコラボレーションにあたり、なぜ動物を描くのか、独自の技法「マーブリング」に込めた想いまで、じっくりとお話を伺いました。
 
画家としての原点:本当の自分をさらけ出して戦う
—— まず、田中さんが画家を志した理由と、動物をモチーフに選んでいる理由を教えてください。
 
僕が画家になりたいと思った理由でもあるのですが、「本当の自分をさらけ出しながら戦う」というテーマがあります。そのテーマで画家に転身したとき、自然の中にいる生き物というモチーフが、自分自身のテーマに最も適していたんです。自分が描きたいと思う「格好良さ」がそこにはありました。
 
昔から漫画をよく読んでいたのですが、よく動物が「必殺技」として登場しますよね。あのような必殺技のモチーフになりそうな、剥き出しの格好良さに惹かれている部分が大きいです。だから、愛する動物を「可愛く描いてあげよう」というテーマは、自分の中にはありません。あくまで表現したいのは、その命が持つ力強さなんです。
 
技法のこだわり:マーブリングと写実の「調和」
—— 田中さんの作品は、独特の模様が印象的です。あの表現はどのように生まれるのでしょうか?
 
もともと、絵の具が滂んでいく様子が綺麗だなという感覚があって、それを絵に取り入れたいという気持ちが強くありました。「マーブリング」という、自然にできる滂みの模様を活かしながら、描き込む部分はかなり写実的に、技術を使って描き込んでいきます。
 
意識しているのは、模様と写実的な部分の「調和」です。その境界線がはっきりしすぎないよう、自然な流れとして一体化させることに、一番神経を使っていますね。
 
作品紹介:基礎、情熱、そして連作への挑戦
—— 具体的な作品についてお聞かせください。まずは、モノトーンの作品「Black Foundation」について。
 
この「Black Foundation」の「Foundation」には、基礎や土台という意味があります。僕が大切にしている白黒ベースの基礎的な技術を、あえて前面に出した作品です。
 
—— 続いて、非常に色彩豊かな「Maelstrom」はいかがでしょうか。
 
「Maelstrom」は「巻き込まれる流れ」という意味です。ライオンを荒々しいタッチで描くことで、その力強さを表現しました。実はこの作品、僕にしては珍しく、かなりの種類の色を使っているんです。色の組み合わせや色数そのものが、自分の中でのひとつの挑戦でもありました。
 
—— ドラゴンを描いた連作についても、それぞれのコンセプトを教えてください。
 
龍(ドラゴン)は僕にとって特別なモチーフです。
 
「桃源龍」:桃源郷をイメージしました。緑の山々と、そこに実る桃。龍の爪をピンクにしたり、背景に金箔を散りばめてキラキラした世界観を作っています。
 
「銀翔龍」:銀色の背景を使っています。龍が背景と同化しすぎないよう、絶妙な色のバランスに注意して仕上げました。
 
「金毛龍」:星空の輝きや、あるいは水中のようなイメージ。龍はもともと「水の神様」とも言われるので、そのイメージを重ねています。
 
これらの作品では、キャンバスの側面や上下にまで絵を繋げたり、サインを側面に入れたりと、立体的なキャンバスそのものを活かす挑戦もしています。
 
アートのピュアな姿:「装飾性」と「余白」
—— 作品を拝見していると、細かな点(ドット)などの装飾も印象的ですね。
 
「Burst of Blue」などの作品では、装飾的な表現を多く取り入れています。こうした点々も、実は一つひとつ筆で描いているんです。実用性のまったくない、ただの「飾り」としての装飾。その無駄な装飾こそが、アートの最もピュアな表現ではないかと考えています。
 
また、大きく余白を取るスタイルも僕の特徴です。画面の中に余白を作ることで、描かれた生き物が動いたあとの「余韻」を感じてもらいたい。そう思って空間を構成しています。
 
次なるステージへ:動物、そして花
—— 今後の展望について教えてください。
 
最近、新しく「花」のモチーフにも挑戦し始めました。「一輪の薇薇」という作品では、和風な墨のような表現に、アクリル特有の艳のある絵の具を組み合わせています。今後は、これまで培ってきた動物の表現と花を組み合わせるなど、さらに新しい表現を探求していきたい。赤いトラと赤いバラが一緒に描かれている……想像するだけで格好いいですよね。
 
色の組み合わせ、表現の幅。これからも飽くなき探究心を持って、作品に向き合っていきたいと思います。