田中ラオウ《金神龍》——黒と金の二色が召喚する、龍の気配

2026.04.30

田中ラオウ《金神龍》——黒と金の二色が召喚する、龍の気配

田中ラオウ《金神龍》——黒と金の二色が召喚する、龍の気配

目が合った、と感じる絵がある。田中ラオウ《金神龍》は、まさにその一枚だ。

古来より水の神とされてきた龍を、作家のベースカラーである黒と金の二色のみで結晶化した本作。鱗の一枚一枚が光の角度に応じて明滅し、筋肉の隆起が画面の内側から手前へと押し出されてくる。爪の先端に宿る殺傷力。髭が空気を孕むかのような存在感。そして、観る者を射抜く双眸の重圧。6号(318×410mm)という凝縮された画面の中に、龍の神格がそのまま封じ込められている。

田中ラオウは2014年、カリカチュアの世界大会ISCAにて総合優勝を果たし、マスタークラス殿堂入りを遂げたアーティストだ。対象の骨格構造と筋繊維を完全に掌握した上で、一筆ごとに確信を持って画面を刻んでいくその技術は、画家転身後、「存在の気配そのものを画面上に立ち上げる」という次元にまで到達している。

装飾性をアートの最もピュアな表現と捉える田中にとって、金は単なる華美ではない。神格的な存在を現世に降ろすためのマテリアルとして機能し、光が射す角度が変わるたびに金の粒子が呼吸するように明滅し、龍体に生命を灯し続ける。

どこにも迷いのない筆の一撃一撃が積層して、龍という存在を形作っている。近づいて観ることで初めて、その気迫の全体像が立ち上がるはずだ。

田中ラオウ《金神龍》
キャンバス、アクリル/6F (318×410mm)/2026年
¥198,000(税込)

本作は田中ラオウ個展「閃」(2026年4月、Gallery Seek カレッタ汐留)の出品作です。
作品のお問い合わせは Gallery Seek まで。

---