柿目白舞利鳥図

2026.07.27

柿目白舞利鳥図

柿目白舞利鳥図──200年の時差を一枚に棲まわせる

志水堅二 個展「ブリドリーの時空雅行 雅の源流から夏の灯」が、カレッタ汐留B1F Gallery Seekにて8月1日まで開催中です。会期4日目を迎えた本展より、「柿目白舞利鳥図」をご紹介します。

本作は、江戸琳派を代表する絵師・酒井抱一(1761–1828)の「十二ヶ月花鳥図」から、実りの秋を描いた一幅を下敷きにしています。橙色にたわわに熟れた柿、墨で引かれた枝の骨格はそのまま残されています。しかし、枝に集っていたメジロたちの姿は消え、代わりにゼンマイ仕掛けのキャラクター「ブリドリー」が画面の各所に現れます。

ブリドリーとは「ブリキの鳥」と「人形(ドール)」を掛けた造語であり、志水堅二にとっての「時間の象徴」です。プラスチックではなくブリキを選んだ理由は、錆び、朽ち、やがて土に還るという素材の有限性そのものに時間の手触りがあるから。飛ぶことはできなくても、ゼンマイが止まるまで跳び続ける──その健気な姿に、制約の中でも前に進もうとする気高さが宿ります。

素材はミクストメディア(木製パネルにアクリル絵具・アルキド絵具、金銀箔)、サイズはH1840×W530mm、2026年制作。西洋由来の画材が東洋の古典図案の上に重なり、200年前の筆致と現代の輪郭線が一枚の中で呼吸を交わします。

本作は、酒井抱一の十二ヶ月花鳥図から四季を表す四幅を下敷きにした連作──桜雉子・立葵紫陽花・柿目白・雪中檜 舞利鳥図──の一幅であり、四幅対としてのみお迎えいただけます。春夏秋冬、それぞれの季節に棲みつくブリドリーたちの姿を、ぜひ会場でご覧ください。

▶ 作品詳細・お問い合わせ:https://art-scenes.net/ja/artworks/56289

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