志水堅二 個展「ブリドリーの時空雅行」風神雷神図屏風
錆びた鳥が、神になる屏風——志水堅二個展「ブリドリーの時空雅行」
俵屋宗達が風神と雷神を金地に描いてから、およそ四百年。尾形光琳が、酒井抱一がその図像を引き継ぎ、日本美術史の中で幾度も反復されてきた構図の、最も新しい一枚が汐留に現れる。
志水堅二個展「ブリドリーの時空雅行 雅の源流から夏の灯」。会期は2026年7月24日(金)から8月1日(土)まで、カレッタ汐留 地下1階 Gallery Seekにて。
展示の核に据えられるのは「風神雷神図屏風」(2026年/H1210×W2120mm/木製パネルにアクリル絵具で下地、主線・描画にアルキド絵具/金箔を全面に敷いた屏風/¥5,016,000 税込)。右隻に連太鼓を背負う雷神、左隻に緑の風袋を携える風神。その両者が、志水の代名詞であるキャラクター「ブリドリー」の姿をまとっている。墨のたらし込みで沈めた雲が、古典の様式美とポップな造形の境界を静かに溶かしていく。
ブリドリーは「ブリキの鳥」と「人形(ドール)」を掛け合わせた存在であり、時間そのものの象徴として描かれている。飛ぶことはできない。けれど、錆が浮いてもゼンマイが止まるまで跳び続ける。鳳凰や龍といった神獣にも姿を変え、制約の中で前へ進もうとする意志を、その小さな身体に宿している。プラスチックではなくブリキという素材——朽ちていつか土に還る、不完全なものへの眼差しが、志水の制作の根幹にある。
1971年名古屋生まれ。尾張藩に仕えた家系に生まれ、曾祖父は輸出向け陶磁器業「志水緑之助商店」を営んだ。ものづくりの血脈を受け継ぎながら、多摩美術大学で油画を学び、東京藝術大学大学院では中島千波研究室でデザインを修めた。日本画の古典的図案と西洋の画材を交差させ、キャラクター文化を絵画として成立させるという一貫した問いに、志水は二十年以上向き合い続けている。
会期中の7月25日・26日(13:00〜17:00)には、汐留サマースクール連動企画として巨大ブリドリーバルーンが会場に出現。作家本人による作品解説とお子様向け塗り絵グッズの配布も行われる。昭和レトロの縁日を思わせる夏の熱気の中で、大人には懐かしさを、子供には予期しない驚きを届ける。一枚の屏風の前で、世代の異なる視線が交わる。その瞬間にこそ、この展示の意味がある。
▶ 作品詳細・お問い合わせ:https://art-scenes.net/ja/artworks/56285?gallery_id=9
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