原田武 個展「断片の景色」
原田武 個展「断片の景色」——本日初日
2026年7月3日、Gallery Seekにて原田武の個展「断片の景色」が幕を開けた。会期は7月11日(土)まで。
原田武は1984年愛知県生まれ、広島市立大学大学院で金属造形を専攻した金工作家である。2014年にTokyo Midtown Awardグランプリを受賞し、ロンドン、シンガポール、台湾など国際的な場でも作品を発表してきた。岡本太郎現代芸術賞入選、広島市佐伯区民文化センターへのパブリックコレクション収蔵など、その歩みは金工という領域の可能性を押し広げ続けている。
本展に並ぶのは全12点。「雨の季 -蛙と紫陽花図三足香炉-」「艶蛛」「夢見鳥」「瑠璃尾」「痕跡」「雨音」「月下の中に」「月下の痕跡」「蝶が舞う風景」「一筋」「陽光」「蒲公英と蟻」。蛙、蜘蛛、蝶、蟻といった身近な生き物から、月光や雨音といった自然現象まで、すべてが銅・真鍮・銀の鍛金・彫金・化学着色によって立ち上がっている。
原田の制作において塗料は存在しない。硫化カリウムと銅の反応が深い茶黒を生み、錫のバーナー炙りが独特の酸化色を纏わせ、七宝・漆・金箔が色彩の奥行きを広げる。鏨で一本ずつ刻まれた昆虫の脚、鍛金で叩き出された蝶の翅の薄さ——その集積が、無機質な金属に生命の体温を宿らせる。
原田が一貫して掬い上げてきたのは、大人になるにつれて視界から消えていった「地面すれすれの世界」だ。朽ちたタイルの罅、コンクリートの隙間に根を張る蒲公英、雨上がりの蛙の背。日常において誰もが通り過ぎてきたそれらの断片を、金属の内側に封じることで、忘却に抗う時間の結晶が生まれる。
展示に合わせ、原田武本人が「断片の景色」について語るコメント動画も公開している。
7月3日・4日・5日は作家在廊(13:00〜17:00)。金属の粒子越しに浮かび上がる「どこかにあったかもしれない景色」を、ぜひ会場で体感していただきたい。
「断片の景色」
会期:2026年7月3日(金)〜7月11日(土)11:00〜18:00(最終日17:00閉場)
会場:Gallery Seek(東京都港区東新橋1-8-2 カレッタ汐留B1F)
作家在廊:7/3(金)・4(土)・5(日)13:00〜17:00
▶ 作品詳細・お問い合わせ:https://art-scenes.net/ja/shows/1640
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