内田有 個展「POP-UP COUNTER」残り2日間・本日明日アーティスト来場

2026.06.12

内田有 個展「POP-UP COUNTER」残り2日間・本日明日アーティスト来場

本日6月12日(金)・明日6月13日(土)、いよいよ最終2日間です。

内田有 個展「POP-UP COUNTER」がGallery Seek(東京・カレッタ汐留B1F)にて6月13日(土)をもって会期を終えます。本日・明日の両日、アーティスト・内田有氏が在廊予定です。作家と対話しながら作品に触れる最後のチャンスをどうぞお見逃しなく。

「かわいい」に潜む告発——《cool it》シリーズとガラス鋳造の技法

内田有の代名詞は、ガラス鋳造(キャスト・グラス)を用いた立体作品《cool it》シリーズです。温暖化によって居場所を失いつつあるホッキョクグマを、熱で溶けゆくアイスキャンディーの造形に落とし込んだこの作品群。東京藝術大学大学院ガラス造形研究室で培った技術を駆使し、型に溶融ガラスを流し込んで冷却・研磨する手法で制作されます。

ガラスという素材の本質は「不可逆性」にあります。一度固まったガラスは取り消せない——その特性が、環境破壊という取り返しのつかない行為のメタファーとして静かに機能しています。「かわいい」商品デザインのフォーマットに包まれているため、一見すると親しみやすいポップなオブジェに見える。しかしよく見ると、それは溶けかけたホッキョクグマであり、消えゆく生態系のイコンです。

見た目の愛らしさと内容の残酷さ——その落差こそが、内田作品の核にあるアイロニー(皮肉)です。 環境問題の深刻さを知りながら豊かな生活をやめられない人間の「業(ごう)」、大量消費社会に潜む矛盾。それをユーモラスなパッケージに包んで差し出すのが、内田有のスタイルです。

19世紀の色彩理論を金属で——《fruit bowl》シリーズとパンチングメタルの知覚実験

近年の新シリーズ《fruit bowl》は、パンチングメタルを素材に用い、まったく異なるアプローチを取ります。着想源は19世紀末フランスの絵画運動「分割主義(Divisionism)」——スーラやシニャックらが試みた、小さな色点の隣接配置によって鑑賞者の網膜の上で色を混合・振動させる点描技法です。内田はこの「2Dの視覚実験」を、3Dの彫刻へ、そして絵具からパンチングメタルへと翻訳しました。

パンチングメタルに無数に開けられた円形の穴が、物理的な「分割(division)」として機能します。鑑賞者が作品から遠ざかると果物鉢の像が浮かびあがり、近づくと穴の奥に覗く色彩が解体されて幾何学パターンへと変容する。見る距離・角度・光の当たり方によって、作品の「見え方」が根本的に変わるのです。これは単なる視覚的トリックを超えた、「知覚とは何か」という哲学的問いを彫刻として具現化した試みです。

「POP-UP COUNTER」に込められた多義的なメッセージ

展覧会タイトル「POP-UP COUNTER」には、内田ならではの洗練された言葉遊びが凝縮されています。

POP-UP」は、期間限定ショップを訪れる際の"ワクワク感"を表すと同時に、本展でコラボレーションするHARUNA「ルカフェスパークリング」の炭酸が軽快に弾ける様子を表現しています。一方「COUNTER」は、作品やドリンクが供される物理的な「バーカウンター」を意味するのみならず、大量消費社会や環境問題へ一石を投じる「カウンター(反論)」という重層的な意味を持っています。

オリジナルグッズやスパークリング飲料との華やかなコラボレーション空間のなかに、社会へのアイロニーという"ひねり"を効かせた——それが内田有ならではの知的な展覧会構成です。

《Betty Boop》——ポップカルチャーと所有の問いかけ

本展にはガラス鋳造・パンチングメタルに加え、1930年代のアニメキャラクター《Betty Boop》を彫刻化した作品も展示されています。大衆文化のアイコンを「美術品」として立体化することで、「ポップカルチャーとは誰のものか」「複製とオリジナルの境界はどこか」という問いを投げかけます。

アーティスト・内田有について

1979年東京都生まれ。東京藝術大学美術学部工芸学科(鋳金専攻)卒業後、University for the Creative Arts(イギリス)への留学を経て、2011年に東京藝術大学院工芸専攻ガラス造形研究室修了。フジオ・プロダクション(藤子不二雄)、手塚プロダクション、タツノコプロ、円谷プロダクション、チロルチョコ、MILKBOY HARAJUKUなど、日本を代表する文化・商業ブランドとのコラボレーションを重ね、国内外のアートフェアや国際展に精力的に参加。日本全国、アメリカ、ヨーロッパ、アジア各地で高い評価を得ている現代アーティストです。

「見た目はポップでかわいい。でも、よく見ると、どこか不思議で考えさせられる。ユニークでカラフルな世界に、ほんの少し立ち止まりたくなるような問いをしのばせて。そんな思いで、ひとつひとつの作品を制作しています。」(内田有)

内田有 個展「POP-UP COUNTER」
会期:2026年6月5日(金) ~ 6月13日(土)【残り2日間】
会場:Gallery Seek(東京都港区東新橋1-8-2 カレッタ汐留B1F)
アーティスト来場:6月12日(金) / 6月13日(土)

▶ 展示詳細・作品一覧:https://art-scenes.net/ja/shows/1630
▶ Gallery Seek 公式サイト:https://galleryseek.jp