中島健太「frozen time」
#### タイトル
中島健太「frozen time」——"時間を止められる画家"に着想を得た、一瞬を永遠にする女性像
#### 本文
「『モデルとの一瞬が永遠になれば』という願いを込めて、女性像を描いています」——中島健太が「frozen time」シリーズを語るとき、必ず立ち上がるのがこの祈りの言葉である。
着想源は、"時間を止められる画家"を主人公とした一本の映画だった。もし筆を握ったまま時を止められるのなら、画家はそこに何を閉じ込めたいと願うのか——中島がそこから導いた答えが、女性像の連作「frozen time」である。
「柔らかさ、透明感、色香、そして芯のある強さ——女性という存在に宿る、男性には決して描ききれない美しさを、写実で追い続けています」。中島の筆が向かうのは、モデルと画家が同じ空間で呼吸した、ほんの数時間のこと。その"一瞬"を、油彩の層のなかに封じ込める。
技法は徹底して古典的だ。まずグリザイユ技法で白黒の下描きを作り、その上に色を置いていく。絵具はパレット上で混ぜすぎず、画面上に並べることで発色を保つ——印象派の筆触分割に着想を得た手法である。油絵具は乾燥を待って層を重ねることで、下地が透け、深みが生まれる。「絵画はひと筆ごとの時間の積み重ねの上に出来上がります」。この言葉のとおり、シリーズの画面には、画家が費やした何層もの時間が物理的に定着している。
中島健太は、2009年に第41回日展で特選を受賞した、史上最年少の初出展特選受賞者である(当時24歳・作品『滑走路に限りなく近い場所』)。2014年、改組新第1回日展で二度目の特選(『After Dark』)。20代のうちに二度の特選受賞は、小磯良平以来の記録となった。武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業、日展洋画部門最年少会員、白日会会員。"完売画家"として知られる。
中島がくり返し語ってきた言葉がある。「AIが圧倒的なクオリティで画像を生み出す世界にあって、『絵画』に役割はあるのだろうか? ……絵画は『手紙』なのだ。世界で最も有名な絵画『モナリザ』は既に500年の時を生きている。モナリザが写真だったら、AIが生成した画像だったら、それほどの時を生きただろうか?」——そして、「100年後の未来に誰かが僕が描いた女性に恋をしてくれたらいいな。彼女達に、永遠の命が宿りますように」。
「frozen time」は、その祈りの最も純度の高い結晶である。
Gallery Seek / ART KNOTにて本作の動画を公開中。ぜひご覧ください。