作品について
全身を金箔で覆った豚の小品。丸く膨らんだ胴に短い四肢を寄せ、顔を斜め上に向けて口の端を上げている。表面は磨きと箔押しの差によって明暗が生まれ、耳の内側や鼻先、蹄にわずかな陰影が落ちる。 【きんとんというモチーフについて】 「きんとん」の名は、金団——金色の団子・栗きんとんに通じ、正月の重箱に詰められる縁起物として、豊かさや金運を願う語である。丸々と太った豚の姿もまた、古くから多産と繁栄の象徴とされてきた。籔内佐斗司は「困難を笑い飛ばすような明るさ」を作品に宿す作家であり、名前と姿の両方から福を招く一点である。 【素材・技法について】 木彫原型を型取りして鋳造したブロンズに、金箔を押して仕上げている。籔内は仏像修復で培った古典技法を制作の基盤としており、金箔もまた仏像荘厳に用いられてきた材である。均一な金色ではなく、箔の継ぎ目や下地の凹凸が残されているため、光の当たり方によって表情が変わる。 【見どころ】 斜め上を見上げる視線と、口元のわずかな笑みに注目したい。掌に載る寸法で、玄関や机上に据えて日々目にすることを想定した大きさである。
籔内佐斗司の作品