作品について
青と水色の帯が幾重にも横に走る水面に、金箔の光の道が奥から手前へ落ちる。上端で最も強く輝き、手前へ来るほど細かく砕けて、白い粒が点々と光を返す。1167×910mm。《水景色》連作のなかで最も大きい。 【作品について】 ブルーアワー——日没後、あるいは日の出前の、空が青く沈む短い時間帯を主題としている。太陽そのものは水平線の下にあり、残光だけが水に落ちる。青の階調は上方の濃紺から手前の淡い水色まで細かく分けられ、その間を金の道が貫く。 【モチーフについて】 菅は水を「実体のないもの」であり「光の強さによって捉えどころなく変幻自在に輝く」ものとして捉える。時刻を限定した本作は、その「光の強さ」を最も繊細に問う設定であり、わずかな残光がどこまで水を輝かせるかが主題になっている。 【素材・技法について】 雲肌麻紙に天然岩絵具と箔。青は混色を避けた岩絵具そのものの色で、粒子の粗さの異なる複数の青を横に置き重ねている。金箔は面として貼り込み、その上に波の絵具を重ねることで、箔が水に沈んで見える。白い粒は胡粉で、絵具として実際に厚みを持つため、光の角度によって影を落とす。 【見どころ】 連作のなかで最も大きい画面を、水面だけで満たしている点に注目したい。近づくと視界が水で覆われ、岸のない状態に置かれる。この寸法そのものが作品の要素である。
菅かおるの作品