作品について
青緑の水のなかに、梅花藻が上から垂れ下がる。白い小花が枝の先ごとに咲き、細い葉が幾重にも絡み合う。画面下方は光を含んで黄緑に明るみ、金色の粒が散る。 【作品について】 清流に育つ梅花藻を、水中の視点から捉えた一点である。植物は上から下へ垂れ、根も水底も描かれない。水そのものが背景であり、その色の移り変わりだけで深さと光が示される。 【モチーフについて】 菅にとって水は「実体のないもの」であり、それ自体は描けない。だからこそ水草や花といった、水のなかにあるものを通して水を描く。「金魚、海草、お花」は彼女が「水の周りの幸福な象徴」と呼ぶモチーフ群であり、本作はそのうち水草と花に絞った構成である。 【素材・技法について】 雲肌麻紙に天然岩絵具。梅花藻の細い葉は極細の線描を無数に重ねて密度をつくる。白い花は胡粉で厚く置かれ、下の水の色が透けないよう不透明に仕上げられている。背景の青緑から黄緑への移行は混色ではなく、粒子の異なる岩絵具を重ねることで生まれている。画面下方に散る金の粒が、水底に射す光を示す。 【見どころ】 葉の線の密度に注目したい。近づくと一本ずつ引かれた線が見え、離れると藻の茂みになる。この距離による見え方の変化が、水の透明感を生んでいる。
菅かおるの作品