作品について
黒い水面に淡紅の睡蓮が二輪と蕾がひとつ。青い葉が水に浮かび、右手では三尾の金魚が金色の渦のなかを泳ぐ。渦の中心には白い光の粒が集まり、星のように散っている。 【作品について】 睡蓮と金魚を同じ画面に配した一点。睡蓮は水面に咲き、金魚は水中を泳ぐため、本来は視点の異なるふたつの層が、真俯瞰の構図によって同時に見えている。 【モチーフについて】 菅の水の主題は、大学3年の折に金魚鉢を真上から眺めた体験に始まる。「ぼんやり眺めていると気持ちよさそうに泳ぐ金魚は空を回遊する飛行船のように、水草は海の上に浮かぶ島のように見えました」——その原体験がそのまま画面になったような一点であり、金魚と水草と花という取り合わせは、彼女が「水の周りの幸福な象徴」と呼ぶものである。 【素材・技法について】 雲肌麻紙に天然岩絵具。睡蓮の花弁は淡紅の絵具を薄く重ね、縁に向かって明度を上げている。金魚は白・青・橙と色を変えて描き分けられ、尾鰭には胡粉を薄く刷いて透けを表す。中央の渦は金泥で幾重にも巻かれ、その上に胡粉の粒を散らして光としている。 【見どころ】 金色の渦に注目したい。水の流れとも、光の集まりとも読めるこの部分が、睡蓮の静けさと金魚の動きとを画面上でつないでいる。
菅かおるの作品