作品について
アクリルケースに収められた縦長の作品。上の板は黒地に白いクリスマスローズが二輪、青緑の葉を添えて咲く。下の板は黒地で、水面から降りた二本の茎が金色の粒に包まれながら細く沈んでいく。境目には金と白で描かれた水面が横に走る。 【作品について】 《グラスに挿した三輪のクリスマスローズ》と対をなす一点で、同じく水面を境に上下を分ける構成をとる。ただし本作では下の板も黒地とされ、水中はより深く暗い。白い花の明るさと、水中の暗さとの落差が大きい。 【モチーフについて】 水の上と下という主題は、菅が繰り返し扱ってきたものである。「小さい世界の一部を拡大して見ていくと小さいものに大きいものが全部含まれてるような感覚になります」という彼女の言葉どおり、グラス一杯の水が、深い水底のような広がりに置き換えられている。 【素材・技法について】 雲肌麻紙に天然岩絵具。白い花弁は胡粉を重ねて厚みを出し、下の色が透けるよう層を工夫している。「胡粉は特に絵画らしい厚みが出ます」と菅が語るとおり、花弁の起伏はそのまま絵具の物質的な高低である。水面の帯には金泥と白が細かく置かれ、水中では金の粒を散らして光の残りを表す。 【見どころ】 水中に降りた二本の茎に注目したい。水面より上の茎がはっきりした青緑であるのに対し、水中の茎は輪郭を失って淡く霞む。同じ茎が水を挟んで別の見え方をすることが、この作品の主題である。
菅かおるの作品