中村祐子の作品一覧

中村祐子 Yuko Nakamura

Snake

技法岩絵具、水干絵具、墨、膠、箔、截金
サイズH272 × W242 mm
作品タイプユニーク
PRICE (TAX INCL.) ¥121,000
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作品について

金色の箔がほのかに光を帯びる画面の中に、巳——蛇の姿が静かに佇んでいます。2024年の制作であり、十二支の「巳」をモチーフとした本作は、新たな年や再生への祈りを宿すかのような厳かな気配を漂わせています。手のひらに収まるほどの27.2×24.2cmという小さな画面でありながら、その密度と奥行きには思わず見入ってしまう力があります。 【素材・技法について】 本作には岩絵具と水干絵具という日本画の伝統的な顔料が用いられています。岩絵具は天然鉱物を砕いて作られる粒子状の絵具で、光の当たり方によって微妙に表情を変える独特の質感を持ちます。水干絵具はより粒子の細かい顔料であり、両者を併用することで、画面に繊細な色の階調と奥行きが生まれています。これらの顔料を膠(にかわ)で定着させるという、古来より受け継がれてきた技法が用いられている点も見どころのひとつです。 さらに注目すべきは、箔と截金(きりかね)の使用です。截金とは、金箔や銀箔を極細の線や小さな文様に切り出し、一片ずつ画面に貼り付けていく技法で、もともとは仏像や仏画の装飾に用いられてきました。息を止めるほどの緊張感の中で施される截金の繊細な線は、蛇の鱗や周囲の空間に神聖な輝きを与え、小さな画面を荘厳な世界へと昇華させています。墨による引き締まった描線がこれらの華やかな素材と調和し、静謐でありながら凛とした緊張感を画面全体にもたらしています。 蛇は古来より脱皮を繰り返すことから再生と変容の象徴とされてきました。日本画の正統な技法と素材によって丁寧に描き出された本作の巳は、小品ながらも深い精神性を感じさせる一点です。

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