作品について
マッコウクジラの輪郭をかたどった変形パネルに描かれた日本画作品。千葉は一瞬の現象——時間や季節、感情——を画面に定着させることを制作の核としており、本作でも海洋生物のかたちそのものを支持体とすることで、モチーフと画面が一体となる構造を実現している。タイトル「うちかおる」は、内側から立ちのぼる香りや記憶を想起させ、深海に潜むクジラの身体に重ねられている。 マッコウクジラの輪郭をかたどった変形パネルに、日本画材によって描かれた一作。タイトル「うちかおる」は、内側から立ちのぼる香りや記憶を想起させる。金箔や岩絵具といった伝統素材を用いながら、海洋生物の身体そのものを支持体とすることで、画面の内と外の境界を曖昧にし、一瞬の現象を保存しようとする作家の制作態度が、作品の形状それ自体に宿っている。
千葉史織の作品