作品について
雲肌麻紙の上に岩絵具と水干絵具を重ね、箔と截金によって水面のきらめきを表した一作。中村祐子は鎌倉時代の仏画研究を通じて截金技法を体得し、花鳥画を中心とした日本画制作に応用してきた。本作では、金色に輝く鯉の姿を截金の精緻な線描と箔の光沢が引き立て、水中の生命感と装飾的な文様世界とがひとつの画面に溶け合っている。 雲肌麻紙の柔らかな地に岩絵具と水干絵具で描かれた鯉が、箔と截金による金色の光をまとい静かに泳ぐ。鎌倉時代仏画に連なる截金技法が、花鳥画の伝統的画題である鯉の鱗や水の揺らぎに繊細な文様の層を重ね、現実の生き物と装飾的な輝きとを一つの画面に溶け合わせている。墨の滲みが水の深みを暗示し、金の截線が光そのものとして浮かび上がる。
中村祐子の作品