岡﨑実央 Mio Okazaki
SPINNING TOE HOLD [VINYL EDITION] #04
| 制作年 | 2025 |
|---|---|
| 技法 | Screen print on drum head |
| サイズ | H300 × W450 × D1 mm |
| 作品タイプ | ユニーク |
作品について
【作品について】 プロレス技「スピニング・トーホールド」をモチーフに、レコードジャケットの形式で制作されたシルクスクリーン作品。白地のジャケットの中に、グレー、ペールピンク、オレンジブラウン、黄土色、ブルーグレー、黒といった色面が幾何学的に折り重なり、組み合う二つの身体が描かれている。足を捕らえる手、ねじれる胴体、下部に覗く顔——複数の視点から捉えられた肉体の断片が一つの画面に収められ、技の攻防がキュビズムの文法で再構成されている。右側からはみ出す黒いレコード盤と、ブルーの「Wrestling RECORDS」レーベルが、作品にプロダクトとしての存在感を与えている。 【キュビズムとプロレスについて】 岡﨑は「プロレスは観客が360度選手を囲んでいて、席によって見え方が異なり、それぞれの角度・視点に良さがあります。そこで、ピカソやブラックが発展させたキュビズムを用いてプロレスを描いています。すると、多くの角度から見た美点を自由自在に表現できました」と語る。本作でも、技を掛ける側と掛けられる側の身体が同時に複数の角度から描写され、一瞬の攻防が静止画の中で多面的に展開されている。 【素材・技法について】 ドラムヘッド(打楽器の膜面)にシルクスクリーンで刷られている点がこの作品の大きな特徴である。キャンバスや紙ではなく、音楽に関わる素材をレコードジャケットという形式と組み合わせることで、プロレスの「入場曲」「会場の音」といった聴覚的な記憶までも喚起させる構造になっている。岡﨑はキャンバスの形状を競技に合わせて変える(相撲は丸、総合は六角形、プロレスは正方形など)制作姿勢を持ち、本作ではレコードジャケットという正方形のフォーマットがプロレスのリングと重なる。 【見どころ】 フリーハンドで描き込まれた文字にもご注目いただきたい。岡﨑にとってフリーハンドの文字は、写真や映像では伝えきれない観客の自由な声援やライブ感、混沌としたエネルギーを表現する手段である。ジャケット上の「Spinning Toe-Hold」のタイポグラフィと画中に溶け込む手描き文字の対比が、プロレスという競技が持つ秩序と混沌の共存を体現している。
岡﨑実央の作品