岡﨑実央 Mio Okazaki
KNEE DROP
| 制作年 | 2025 |
|---|---|
| 技法 | Screen print on drum head |
| サイズ | H320 × W320 × D60 mm |
| 作品タイプ | ユニーク |
作品について
【作品について】 淡いピンクの背景の上に、黒、グレー、水色、茶、マスタードイエロー、白といった色面が鋭角的な三角形や矢印状の形態となって折り重なり、ダイナミックな一瞬を構成している。画面上部には丸い目を持つ顔のような形が覗き、下部にもう一つの顔が逆さまに近い姿勢で現れる。白い横縞がリングロープを思わせるように画面の各所に反復し、フリーハンドで描かれた「PPTS」などの文字断片が散りばめられている。タイトルの「KNEE DROP」──膝を落として相手に打撃を加えるプロレス技の、跳躍から着地へと至る一連の動きが、複数の視点から同時に一枚の画面へと圧縮されている。 【キュビズムとプロレスについて】 プロレスの試合はリングを中心に360度を観客が囲み、席によって見え方が異なる。岡﨑実央はこの特性に着目し、「ピカソやブラックが発展させたキュビズム(様々な角度から見た対象の形を1つの画面に収める技法)を用いて闘いを描きました。すると、多くの角度から見た美点を自由自在に表現できました」と語る。本作でも、技を仕掛ける側と受ける側の身体が複数の角度から分解・再構築され、一つの瞬間でありながら多方向からの視線が同居している。 【素材・技法について】 本作はドラムヘッド(打楽器の膜面)にスクリーンプリントを施した作品である。プロレスの試合に合わせてキャンバスの形状を変えるという制作方針のもと、正方形のフォーマットはリングの形に見立てられている。画面に繰り返し現れる白い横線はフリーハンドで描かれたもので、写真や映像では伝えきれない観客の声援やスナップ音、カウントといったライブ感と混沌としたエネルギーを表現する手段として用いられている。下地に残されたグレーの色面は、プロレスの「ガチか仕込みか」という白黒つけられない領域をそのまま色彩に反映させたものである。 【見どころ】 画面左下に渦巻くような曲線の塊が見える。直線と鋭角で構成された画面の中で、この有機的な形態は異質な存在感を放っている。技の衝撃、あるいは歓声の波動だろうか──見る人それぞれの解釈に委ねられている点もまた、この作品の持ち味である。
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