作品について
真鍮、銅、銀を用いて形作られたオムレツが白い皿の上に置かれている。金属の表面には色箔が施され、卵料理特有の柔らかな色彩と質感が再現されている。日常の食卓に現れる何気ない一皿を、朽ちることのない素材で静かに留めた作品。 皿の上に置かれた真鍮と銅による小さなオムレツは、金属の鈍い光沢と色箔の温かみが混ざり合い、食卓の記憶をそのまま凝固させたかのようだ。鍛金と彫金による成形に加え、硫化カリウムや火焔酸化による化学着色が卵料理特有の黄みと焦げを塗料なしで再現している。日常の何気ない一皿を金属で立体化することで、記憶の中の「郷愁」を静かに呼び覚ます。
原田武の作品