作品について
【作品概要】 水辺の光景がパネルの上に静かに広がっています。「生命の水辺」と名付けられた本作は、水と生命の根源的なつながりを画面全体で感じさせる一枚です。アクリルガッシュの確かな発色とパステルの柔らかな質感が共存し、水面に宿る光や空気の揺らぎが丁寧に描き出されています。W22×H27.3cmという手に取れるほどの小さな画面でありながら、そこには水辺がもたらす豊かな気配が凝縮されています。 【タイトルについて】 「生命の水辺」というタイトルは、単なる風景描写にとどまらない視点を示唆しています。水辺はあらゆる生き物が集まり、命が生まれ、育まれる場所です。タイトルに「生命」という言葉が冠されることで、描かれた景色は特定の場所の写生を超え、生命そのものの源泉としての水辺という普遍的な主題へと広がりを見せます。 【素材・技法について】 アクリルガッシュとパステルという、性質の異なる二つの画材がパネルの上で重ねられています。アクリルガッシュのマットで均質な塗面がしっかりとした色彩の骨格をつくり、その上にパステルが加わることで、水面の反射や空気中の湿度を思わせる繊細なグラデーションや粒子感が生まれています。パネル支持体ならではの硬質な表面が、絵具やパステルの定着を安定させ、厚みのある3cmのパネル側面が作品にオブジェとしての存在感を与えています。
高津ゆいの作品