作品について
佐藤令奈が2008年以降一貫して描き続ける「赤ちゃんの寝顔」シリーズに連なる小品。キャンバスにミューグラウンドを施した下地の上に油彩を重ね、皮膚の下に透ける血管の脆さと、そこから伝わるぬくもりという相反する感覚を薄い絵肌のなかに共存させている。安らかに眠る姿を通じて、人と人との間に言葉を介さず共有しうる肯定的な感覚を静かに差し出す一作である。 淡く溶け合う肌色と温もりのある色調が、キャンバス上にやわらかな量感を生み出している。ミューグラウンドの下地が油彩の発色を抑えつつも奥行きを与え、皮膚の薄さや血管の透ける危うさと、そこに宿る体温の気配を同時に画面へ定着させる。2008年以来一貫して描かれてきた人体のぬくもりと脆さの二律背反が、小さな画面に凝縮された一作である。
佐藤令奈の作品