作品について
水面から顔を出したかのような姿勢で佇むかえるの像。丸みを帯びた体躯と穏やかな表情が、ブロンズの重厚な質感の中に親しみやすさを宿す。掌に収まる小ぶりなサイズながら、細部まで丁寧に造形された四肢や皮膚の襞が、生き物としての存在感を静かに主張している。 手のひらに収まるほどの小さなブロンズの蛙が、右を向いてしっかりと四肢を踏みしめる。丸みを帯びた背中や張りのある四肢には、仏像修復研究に裏打ちされた寄木造の木彫原型から鋳造へと展開する確かな造形が宿っている。「かえる」は帰る・返る・蘇るに通じる吉祥のモチーフであり、ユーモラスな佇まいの奥に「やまとぢから」の生命力が静かに息づく一作である。
籔内佐斗司の作品