作品について
真鍮とステンレスによる小品。原田武が一貫して見つめてきた「身近にある小さい世界」を凝縮した作品である。銀杏の葉と蟻という、日常の足元で繰り広げられる光景を、鍛金・彫金の技術で金属板から立ち上げている。塗料を用いず、素材固有の色味や化学着色によって銀杏の色彩と蟻の質感を描き分けている点に、金属という硬質な素材でありながら有機的な生命感を宿らせる作家の手業が表れている。幼少期の自然観察の記憶を静止した形として定着させるという制作姿勢が、掌に収まるこの小さな情景にも通底している。
原田武の作品