作品について
冬から早春にかけて凛と咲く椿を、雲肌麻紙の柔らかな質感の上に岩絵具と水干絵具で描き出した一作。花弁や葉の表情を丁寧に写し取りながら、鎌倉時代の仏画研究を通じて体得した截金と箔の技法を画面に施すことで、植物の写実的な佇まいと装飾的な光の層が静かに重なり合う。古典技法に裏打ちされた確かな手仕事が、日本画の花鳥画の系譜に連なる端正な画面を生み出している。 雲肌麻紙の柔らかな肌合いの上に、岩絵具と水干絵具で描かれた椿の花弁が静かに存在感を放つ。墨による枝葉の骨格に箔の光沢が重なり、截金の細密な金属線が花や背景に装飾的な文様層を加えることで、写実と荘厳が一つの画面に共存する。鎌倉時代仏画の研究を通じて体得された截金技法が、四季の草花という身近な画題に古典の気品を静かに宿らせている。
中村祐子の作品