作品について
銅、銀、真鍮といった金属素材を鍛金・彫金の技法で成形し、マフィンの姿を立体として再現した作品。原田武は子供の頃の記憶や日常の身近な光景を金属で再構築することを制作の軸としており、本作でも何気ない食卓の一場面が金属の質感と色箔の繊細な色彩によって静かに定着されている。着色には塗料を用いず、硫化カリウムや火焔酸化による化学反応で金属そのものの色を引き出しており、素材固有の表情が穏やかな温もりを生んでいる。皿の上に置かれた佇まいが、日常の記憶に宿る親密さを静物として留めている。
原田武の作品