岡﨑実央 Mio Okazaki
CHAIR CHOKE
| 制作年 | 2023 |
|---|---|
| 技法 | Screenprint with hand painted acrylic on pipe chair |
| サイズ | H790 × W440 × D1 mm |
| 作品タイプ | エディション |
作品について
【作品について】 黒いパイプ椅子の座面と背もたれに、白と黒のみで描かれたプロレス作品。背もたれ上部には「HELP ME!」の文字が躍り、座面にはキュビズムの手法で分解・再構成されたレスラーの姿が描かれている。「CHAIR CHOKE」というタイトルが示すとおり、プロレスの絞め技(チョーク)をモチーフとしており、画面の周囲には「Me Go!」「MORE HARDER」「SNAP!」「BEFORE THINGS」など、観客の叫びや試合中の音を想起させるフリーハンドの文字が放射状に配置されている。 【パイプ椅子というモチーフについて】 パイプ椅子はプロレス会場においてリングサイドの観客席であると同時に、試合中に凶器として使われることもある象徴的な存在である。岡﨑は卒業制作「四角いジャングル」において「リングの周りを囲む観客――4方向を囲むパイプ椅子席、指定席、立ち見のバルコニー席――それぞれから見えるプロレスをキュビズムで表現」しており、パイプ椅子は観客の視点そのものを体現する装置でもある。本作ではそのパイプ椅子自体をキャンバスとして用い、「見る側」と「描かれる側」の境界を物理的に重ね合わせている。 【素材・技法について】 パイプ椅子の座面にスクリーンプリントで図像を刷った上から、アクリル絵具でフリーハンドの文字を重ねている。岡﨑の文字は下書きやレタリングを一切行わず直接描き込まれるもので、「写真や映像では伝えきれない観客の自由な声援やスナップ音・カウントなどのライブ感、混沌としたエネルギーを表現するため」と本人が語る手法である。白と黒のみの色彩は、プロレスにおける「ガチか仕込みか」白黒つけがたい世界観を想起させつつ、スクリーンプリントのシャープな線とアクリルの手描き文字のコントラストが、計算と即興、作品と日用品といった二項の共存を際立たせている。 【見どころ】 座面右下に記された「mio 2023」のサインにお気付きでしょうか。通常キャンバスに記されるサインがパイプ椅子の上にあることで、この日常の道具が一点ものの作品へと転換された瞬間を示している。壁に掛ければ絵画、床に置けば椅子――プロレスそのものが持つ多義性を、作品の存在のあり方そのもので体現した一脚である。
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