作品について
銅板に硫化カリウムによる化学着色を施し、アクリルと組み合わせた壁面作品。タイトルが示すとおり、硫化カリウムの反応がもたらす深い黒の色調そのものを主題としている。原田は塗料を一切用いず、化学反応や火焔酸化によって金属固有の色彩を引き出すことを一貫した手法としており、本作ではその着色プロセス自体が作品の核となっている。2023年の個展「scenery」で見られた抽象的・実験的な表現への展開を反映し、具象的なモチーフを離れ、銅と薬品の反応が生む色面の静かな存在感を提示した一点である。
原田武の作品