岡﨑実央 Mio Okazaki
MOON SAULT PRESS #02
| 制作年 | 2023 |
|---|---|
| 技法 | Acrylic on Canvas |
| サイズ | H530 × W530 × D30 mm |
| 作品タイプ | ユニーク |
作品について
【作品について】 ダークグレーの背景に、逆さまになった人体が画面中央を占める。頭部を下に、脚を上にした姿態は、プロレス技「ムーンサルトプレス」——空中で後方宙返りしながら相手に体を浴びせる大技——の一瞬を捉えたものである。身体は複数の灰色の面に分割・再構成され、胴体や腕、脚が異なる角度から同時に描かれている。画面の四方には「MOONSAULT」「HELL YEAH」「OMG」といった白いフリーハンドの文字が踊り、観客席から飛び交う歓声や興奮がそのまま画面上に定着したかのような臨場感を生んでいる。 【キュビズムとプロレスについて】 プロレスはリングを中心に360度を観客が囲み、席によって見え方が異なる。岡﨑はこの特性に着目し、「ピカソやブラックが発展させたキュビズム(様々な角度から見た対象の形を1つの画面に収める技法)を用いて闘いを描きました。すると、多くの角度から見た美点を自由自在に表現できました」と語っている。本作でも、宙を舞うレスラーの身体が複数の視点から分解・再統合されることで、どの席から見ても捉えきれない技の全貌が一枚のキャンバス上に凝縮されている。 【グレーの色彩とフリーハンドの文字について】 画面全体を覆うグレーのトーンには明確な意図がある。プロレスには「ガチか仕込みか」という白黒つけがたい領域があり、「あえてそのグレーな部分をグレーなままで許容する心の余裕こそが、プロレスを楽しむコツだし、魅力なのではないか」という考えが色彩に反映されている。また、画面に散りばめられた文字はすべて下書きやレタリングを行わずフリーハンドで描き込まれており、写真や映像では伝えきれない観客の自由な声援やライブ感、混沌としたエネルギーを表現するための手法である。 【見どころ】 正方形のキャンバスはプロレスのリングに見立てられている。逆さまの身体と散乱する文字によって画面に上下の定まらない浮遊感が生まれ、ムーンサルトプレスという空中技の回転する感覚が視覚的に追体験できる構成となっている。
岡﨑実央の作品