作品について
子供の頃に身近な自然を観察した記憶を金属で再構築する原田武が、カラスという「美しいとは言えないもの」に目を向けた一作。銅を主体に銀、錫、真鍮、金箔を用い、羽毛の一本一本を金槌と鏨で打ち出すことで、光の当たり方によって表情を変える繊細な質感を生み出している。着色は塗料を使わず、硫化カリウムによる化学反応や火焔酸化など金属本来の変色を利用しており、カラスの羽が帯びる鈍い光沢と深い陰影が素材そのものから立ち上がる。日常の中で見過ごされがちな存在を別の視点から捉え直す、2021年個展の核となる作品である。
原田武の作品