原田武の作品一覧

原田武 Takeshi Harada

Climbing

制作年2021
技法銅、銀
サイズH100 × W95 × D90 mm
作品タイプユニーク
PRICE (TAX INCL.) ¥308,000
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作品について

銅と銀によって構成された小品。原田武は子供の頃に自然の中で動植物を観察した記憶を起点に、身近な生きものの姿を金属で立体化する作家である。タイトル「Climbing」が示す上昇の動勢を、鍛金や彫金といった伝統的金工技法を駆使しながら掌に収まるほどの寸法に凝縮している。塗料を用いず、硫化カリウムや火焔酸化による化学着色で金属そのものから色彩を引き出す手法が、素材の質感と生きものの息遣いを同時に伝えている。 【作品について】 「Climbing」は、銅と銀を用いて制作された手のひらほどの立体作品です。タイトルが示す通り、何かをよじ登る生き物の姿が金属で捉えられており、小さな体躯の力強い動きと、足先が表面にかける緊張感がそのまま造形に宿っています。銅の落ち着いた赤褐色と銀の冷たい光沢が一つの作品の中で対比をなし、生き物の体表と周囲の質感の違いを、塗料を一切使わず金属そのものの色味だけで表現しています。W9.5×H10×D9cmというコンパクトなサイズでありながら、見る角度によって生き物の動勢が変化し、空間の中に小さな物語が立ち上がります。 【素材・技法について】 銅板を熱して柔らかくし、金槌で叩いて立体を成形する鍛金と、鏨(たがね)で微細な表情を刻み込む彫金を組み合わせて制作されています。パーツは銀鑞付けやTIG溶接で接合し、中空構造にすることで見た目の密度に対して軽量に仕上げられています。色彩についてはすべて金属の地色と化学変化による発色で、原田自身が「素材を限定することによって得られる表現を目指しています。全て金属で形を作るだけでなく色も金属の化学変化で発色させることによって表現しています」と語る通り、硫化カリウムなどを用いた着色によって銅の表面に茶から黒にかけての色調が生まれます。銀の部分はそのままの白い輝きを活かすことで、二つの金属の性質の違いが視覚的なコントラストとなっています。 【見どころ】 原田の作品は、大人になる中で見落としてしまった日常の断片を手がかりにしています。本人は「幼少期にはただただ夢中に観察し、身近にある小さい世界を覗き見していました。大人になって慌ただしい生活の中でついつい見落としてしまっていた感覚を思い出すきっかけになればと思っています」と語ります。「Climbing」という動作の一瞬を切り取ったこの作品は、かつて壁や塀をよじ登る小さな生き物を飽きずに眺めていた記憶の手触りそのものです。手のひらに収まるほどの大きさだからこそ、鑑賞者は自然と顔を近づけ、幼い頃に小さな世界を覗き込んだときと同じ距離感で作品と向き合うことになります。

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