個展のテーマは「静けさの感じられる空間を表現する事」です。
荘厳なルネサンスやバロックの作品より、ハンマースホイやフリードリヒなどの静かな作品に心惹かれます。
私が考える「静けさ」、それは完全な無音ではなく、紙にペンを走らせる音であったり、窓辺で聞こえる鳥のさえずり、モデルの呼吸など、普段の生活では見過ごしがちな「微かな気配」を表現することを目指しています。
視覚芸術である領域で、それ以外の感覚をテーマに据えることは困難といえるかもしれません。
見るものにより様々な解釈が成立しうる絵画であればこそ、曖昧な価値観の中に「見過ごしてはならない道標」が存在すると信じています。
デジタル化が急激に進化し、多様な価値観が拡張し続ける現代をいきる我々にとって「大切な物は何なのか」を問い直すキッカケになれればと願っています。
私のこれまでの制作、そしてこれからの方向性を予感できる展覧会になればと考えております。